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種牡馬ごとの牡牝活躍バランス

  • 2008年12月12日(金) 17時00分
 阪神JFの登録馬を見ていて、ふとひとつのテーマを思いついた。

 いまではあまり言わなくなったが、かつては「○○の牝馬は走らない」といった形で、種牡馬によっては牡牝の活躍バランスが違うというようなことがよく言われたものであった。

 いまでもそのような概念は通用するのか?ということで、調べてみた。といっても主力種牡馬を全部というわけにはいかないので、とりあえずはSS系についてである。さらに、用途がPOGなので、2歳戦の成績についてのみ対象としてある。

 細かく説明していると紙数を食うので、概略についてダイジェスト的に。

フジキセキ
 勝率・連対率はほぼ互角。ただし1走あたり賞金は牡馬157万・牝馬189万。より上のクラスへは牝馬のほうがアプローチできている。

ダンスインザダーク
 あらゆる指標で牡馬が優勢。1走あたり賞金でも牡馬136万・牝馬98万。ダンスが奥手なぶん、牝馬らしい仕上がりの早さで……みたいな原稿をどこかで書いた記憶があるが、今にしてみれば超テキトーなことを書いていたということになる。

アグネスタキオン
 かなり高いレベルで互角。勝率は僅かに牝馬が優勢だが、1走あたり賞金は牡馬229万・牝馬221万とちょっとした誤差の範疇。

スペシャルウィーク
 完全に牡馬優勢。勝率・連対率では2割増、1走あたり賞金は175万対113万。

バブルガムフェロー
 これも牡馬優勢。ただし連対率でけっこう差がある一方、1走あたり賞金は77万対65万で大きくは違わない。牝馬は当たりはずれが大きいということか。

 さらに続けて、06〜08年(12/7時点)の2歳戦勝利度数ランキング上位種牡馬から、SS系以外で3頭ほど紹介しておこう。

クロフネ
 牡牝ほぼ互角。アグネスタキオンほどではないが、ある程度高いレベルでの互角という印象。

サクラバクシンオー
 かなりの牡馬優勢。勝率が15.4%対10.4%、連対率が27.1%対21.6%、1走あたり賞金が178万対148万。

タイキシャトル
 今回紹介する中では珍しい、ねじれ現象が起きている種牡馬。勝率・連対率では牝馬が優勢だが、1走あたり賞金では牡馬が優勢。ドラフト上位なら牡馬、下位なら牝馬か。

 こうしてみると牡馬優勢が多いように見えるがそれもそのはず。総合成績で牡馬のほうが上だからだ。2005〜2007年の3シーズンで見ると、
     勝率  連対率 1走あたり賞金
牡馬  8.4%  16.8%   112万
牝馬  7.0%  13.9%    98万
となっている。

 ということは、フジキセキ産駒はかなり牝馬の価値が高いということであり、アグネスタキオンやクロフネも牝馬が頑張っているということになる。今後種牡馬を見る際には、このようなバランスも意識してみると興味深さが増すだろう。


※次回(12/19更新)は、村本浩平さんによる赤本紹介馬の近況レポートです。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。


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