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久しぶりに存在感を示す2歳世代の外国産馬

  • 2008年12月16日(火) 23時50分
 リーチザクラウンとブエナビスタという、ともにスペシャルウィークを父に持つ超大物が、牡馬戦線・牝馬戦線にそれぞれに出現した今年の2歳世代。こうした超大物の陰に隠れた感はあるが、久し振りに存在感を示しているのが、2歳世代の外国産馬たちである。

 例えば、11月27日に園田競馬場で行われた交流重賞の兵庫ジュニアグランプリを制して、デビューから3連勝を飾ったスーニ(牡2歳、父ソト)は、今年3月に行われたバレッツ・マーチセールの出身馬である。1回目の公開調教で1F=10.2秒の好時計を出しながら、血統面が地味だったためか12万ドルというお買い得価格で購買された馬だったが、ここまでの3戦で見せたダートにおける強さは、冒頭で記した芝の大物2頭にも劣らぬインパクトのあるものだった。このコラムが掲載される17日には、川崎の全日本2歳優駿に出走しているはずで、ここも無事通過するようなら、UAEダービー参戦も視野に入ってくるはずだ。

 スーニに以外にも、08年のバレッツ・マーチセール出身馬では、フィールドチャペル(牡2歳、父チャペルロイヤル)、テスタマッタ(牡2歳、父タピット)の2頭が既に勝ち馬となっている。このセールにおける日本人購買は全部で8頭だったから、上々の勝ち上がり率で、「即戦力をお手頃価格で」というバレッツの伝統が復活した感がある。

 スーニの勝った交流GII兵庫ジュニアグランプリで、牝馬ながら2着に頑張ったアースリヴィング(牝2歳、父ヨナグスカ)は、今年2月にフロリダで行われたファシグティプトン・コールダーセールで購買された馬だ。11月2日に東京で行われたダート1400mの新馬でデビューし、ここで2着以下に1.5秒もの差をつける圧巻のデビュー。2戦目がいきなり重賞の兵庫ジュニアグランプリで、関西地区に輸送されてダート最強牡馬スーニに2.1/2馬身差の2着だから、この馬も相当に能力が高い。

 こちらは叔母やいとこに重賞勝ち馬が並ぶ牝系で、将来の繁殖価値を考えればかなりの値段になっておかしくはなかったが、時計が1F=10.6秒と目立たなかったため、13万5千ドルという廉価で導入されている。

 この年のコールダーセールからは6頭が日本に輸入され、アースリヴィング以外にもエイシンアマデウス(牡2歳、父スカイメサ)も勝ち馬となっているから、当たりを引く確率としては悪いものではない。

 また、07年セプテンバーセールで購買された馬からも、ラヴェリータ(牝2歳、父アンブライドルズソング)、リスペクトキャット(牡2歳、父ストームキャット)という2頭の2勝馬を含めて、既に7頭の勝ち馬が輩出されており、こちらもなかなかの動きを見せている。

 スーニの12万ドル、アースリヴィングの13万5千ドルという購買価格は、円高・ドル安が進んでいる今日では、それぞれ日本円で1105万円と1243万円に換算される。円が弱かった時代に比べると、お買い得感に溢れた購買価格と言えそうだ。

 為替が今後も引き続き円高で推移するようなら、来年2月以降に欧米で開かれる2歳トレーニングセールは、値段が安い&為替が有利で、かつてないほどにお買い得なマーケットになるはずで、来年のファシグティプトン・コールダーセール(3月3日開催、公開調教2月27日)、バレッツ・マーチセール(3月10日開催、公開調教3月5日)、タタソールズ・ブリーズアップセール(4月15・16日開催、公開教4月14日)らは、久々に目の離せない市場になるかもしれない。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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