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2歳戦における理想的な馬格とは?

  • 2008年12月26日(金) 15時00分
 中山で新馬戦のパドックを見ていたら、ひときわ小さい馬がいた。トーセンレオヴィルというその馬は馬体重366kg、残念ながら勝ち馬から10.1秒離された最下位だった。

 てっきりこれが今季の最小馬体重だと思っていたのだが、調べてみると364kgが出走していた。11月15日の福島1Rに出走したヒロイックユウである。こちらも結果は最下位だった。

 競走馬の馬格が向上したとはいえまだ300kg台の馬はけっこういるもので、今年の2歳でいうと、1週を残した段階で55頭がのべ104走している。

 その中からキンセイポラリスが1着もしているのだが、104走で1勝ということはパフォーマンスとしてはもちろん悪い。つまり、21世紀の世において400kgを切る馬というのは小さすぎということが予想できる。

 ちなみに、ハイセイコーの時代にはダービーに出走する牡馬でも400kg未満がごろごろいた(それゆえ、500kgを超えるハイセイコーはその馬っぷりを評価されていた)のだが、時代は変わったということだろう。

 では、反対はどうか?

 大きい馬の話である。馬格があればストライドも大きく強そうな気がするが、一方で大きければいいというものでもなさそうな気がする。

 そこで、2004年以降(今年のラスト1週を除いて約5年分)の2歳戦について、馬体重別成績を調べてみた。

 数字を引いていると長くなるので結論を書くと、牡馬の場合、勝率と1走あたり賞金のピークは500〜519kg、連対率のピークは520〜539kgである。それより軽い馬たちは、体重が軽くなるごとに成績の数値も下がる。ただし540kg以上になるとさすがに大きすぎるのか太め残りなのか、420〜439kgゾーンの馬たちと同じくらいにまでパフォーマンスが一気に落ちる。

 一方牝馬は、勝率と1走あたり賞金のピークが480〜499kg。連対率のピークはちょっと飛んで520〜539kgである。ただし後者は、該当数そのものが多くはない。

 体重が軽くなるほど成績が低下するのは牝馬も一緒。一方で、重い側の落ち込みは牡馬ほど極端ではない。

 ということで、理想の馬格は500kgが基準、牡馬の場合はそれをちょっと超え、牝馬の場合はそれをちょっと切るくらいがいいということになる。

 ちなみにこの基準は、重賞レベルに限定してもけっこうこのまま当てはまる。ただし牝馬の500kg超えは重賞においては結果に繋がっておらず、スイートスポットもやや軽めのゾーンにシフトしている。

 もちろんディープインパクトのような例もあるので大きさで選ぶやり方は万能ではない。ただ、必要あるいは好ましい馬格というのは先述したとおりはっきりしているので、指名の際にも多少の配慮は必要だろう。


※次回は吉田竜作さんによる赤本紹介馬の近況レポートで、12/30(火)に公開いたします。なお、「近況レポート」は次回分をもっていったん休載いたします。次期のPOGシーズン・5月頃から再開予定ですので、お楽しみにお待ちください。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。


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