早いもので08-09クラシックも折り返し地点。ただ、例年と違うのは牡馬、牝馬路線である程度陣容が固まっているところか。
牝馬路線の抜けたナンバーワンは
ブエナビスタ。異論はないと思う。阪神JFは松田博調教師に言わせると「ただ外を回っただけ。競馬にならなかった。未勝利戦のようなレース」。
レース直後、疲弊したライバルたちとは対照的に息も切らさずにいたブエナの姿がそれをよく物語っていた。「使った後もカイバを食べているし、もうすっかり元の姿に戻った。元気がよすぎるくらいだ(笑い)」というから、まずは無事に年を越せそうだ。
気になる来年の予定については、「春は牝馬クラシックが目標。どちらかといえばオークスをという気持ちが強い。馬が元気なのにただ厩舎に置いておいても仕方がないから、桜花賞までに1度は使うつもり。できれば距離のあるところを使いたいが」とのこと。牡馬戦線参戦のうわさもあったが、これで牡馬陣営はひと安心?
話はそれるが、この松田博厩舎にようやく“秘密兵器”が入厩した。それが皐月賞馬ヴィクトリーの半弟にあたる
タクティクス。
「牧場でやりすぎというくらい乗り込んできたから、ゲートさえ受かればデビューはそう遅くならないだろう。いい体をしているし、能力があるのは間違いない。あとはそれが生きるのがどういう条件になるかだろう」と、トレーナーも大きな期待を寄せている。担当の中留調教厩務員も「背中がすごくいい。ちょっとうるさい面もありますが、今のところ大丈夫」と乗り味のよさにほれ込んでいるようだ。
牡馬クラシックで先に頭一つ出たのは朝日杯FS馬
セイウンワンダーだろう。東京スポ杯を回避した当時は「年内絶望か」とも言われたが、人智を超えた回復力で2歳牡馬の頂上決戦を制した。「体力も強いが、精神力がすごい。距離が延びても大丈夫」と領家調教師も来春のクラシックを意識。更なる成長と上積みは確実なだけに、あとは無事に本番を迎えられるかどうかにかかってきそうだ。
そして、ラジオNIKKEI杯組にも要注目。勝った
ロジユニヴァースは逃げた
リーチザクラウンを自ら動いて負かしたのだから、相当な器といっていい。「もう萩原厩舎のロジユニヴァースではなく、関東のロジユニヴァース」と萩原調教師が宣言したように、間違いなく関東のナンバーワン。久しぶりに関東馬の三冠馬が誕生するかもしれない。
一方、敗れたリーチは武豊と、前走手綱を取った安藤勝が口を揃えて「こんなに走らない馬ではない。今日は走っていない」というから、押せ押せのローテーションが影響したのかも。仕切り直しのトライアル戦で再び強いリーチの姿を見せてほしいものだ。
別路線で俄然注目を集めているのが、池江郎厩舎の「今年の目玉」ともいうべき超良血馬
フォゲッタブル。9月頭に入厩してからというもの、体質強化を第1目標に掲げ、プール調教を中心にじっくり鍛えられてきた。
「こっちに来てから20kgは増えたかな?最初は背が高くて華奢な印象だったが、最近になってトモに肉がついて、違う馬になってきた。時間をかけてよかったなと思うし、やっぱりすごい馬だ」とは池江助手。このまま無事に調教が進めば1月終わりか2月頭にはデビューとなりそう。クラシック戦線をひっくり返せるだけの器だけに、是非とも無事にゲートインを果たしてもらいたいものだ。
筆者:吉田竜作
「日本一のPOG記者」との異名を持つ大阪スポーツ記者。毎週月曜日の紙面でPOGコラムを連載中。
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