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POGと馬券

  • 2009年02月06日(金) 15時00分
 タクティクスが新馬戦で1番人気を裏切った。

 ……なんだか前回と同じ原稿を書いているようだが、前回はフォゲッタブルの話をマクラにしたのであった。

 まずこの敗戦がPOG的にどうなのかという話からしておくが、世に良血馬・人気馬がたくさんいれば、その中から人気を裏切る馬が出てくるのも自然なこととしか言いようがない。

 赤本はフォゲッタブルもタクティクスもシルシを薄くしていた(この血統にしては)が、それも100%の自信があったわけではない。蹴飛ばしにいった良血馬に走られることもいくらでもある。推した馬が走ったり走らなかったりするのと同様だ。

 皆さんの中には「ドラフトの時点で当たりハズレの情報流れてるんだろ」的な妄想を抱いている人もいるようだが、馬券予想と同じで決定的な情報などというのはそうそう存在しない。唯一無二の必勝法や情報があると夢想するよりは、すべてが確率論の末のことであり、「当てる確率」を高めることこそがPOG力の向上だと考えておいたほうがいいだろう。

 なんだか話が難しくなってしまったが、要するにフォゲッタブルやタクティクスを指名している人々に「そういうこともあるさ、ドンマイ」と言いたいだけだ。

 一方で、これは本気で肝に銘じておこうよという話がある。それは新馬緒戦の馬券についてである。

 フォゲッタブルは調教もそれなりに動いていたとはいえ単勝1.7倍はやりすぎ。タクティクスは他にもっと稽古で動いている馬がいたのに1番人気(最終的には3.0倍だが10時頃までは1倍台)はやはりやりすぎ。

 ドラフトはその馬が走るはるか前に行われるのだから「結局は確率」で仕方ないが、馬券は走る数分前まで買えるのだから、もっと危険察知能力を身に着けなくてはいけない。

 とにかく、POG人気の高い馬、特にノーザンファームの生産馬を新馬の一本かぶりで買うのは控えめにしたほうがいい。ワールドカルティエとかアプレザンレーヴのように後で勝ち上がった馬でも、新馬戦を振り返ってみれば明らかな過剰人気馬である。アプレザンレーヴなんて、あの馬体でシンボリクリスエス産駒と、新馬緒戦で買っちゃいけないサインがいっぱいの馬だ。

 忘れがちになるが、馬券において過剰人気になって良いことなどひとつもない。つまり、POG人気馬は馬券では損な選択肢になりがちであり、新馬戦は特にそうなのである。みんな逆張りする権利も「ケン」する権利もあるのだから、それを使ったほうがいい。新馬戦で馬券を買うときはアンチPOGの人になったつもりくらいでちょうどいい。

 POG人気馬を馬券で買うとしたら、それはむしろPOG期間終了後だ。その時点で戦績が奮わずにいた馬が、なにかの拍子にひょっこり走って穴になることがある(もともと素質はあるから条件が揃うと走るのだろう)。馬券にPOGを持ち込むのはそのタイミングで十分だ。


※次回は2/20(金)に更新いたします。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。


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