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バレッツマーチセール探訪記

  • 2009年03月20日(金) 00時00分
 バレッツマーチセールに行ってきたので、今回はその話を書きたいと思う。

 既に他のトレーニングセールについて前回書いたが、現地で見たセールはその雰囲気をよりリアルに伝えられるので、皆さんのお役にも立てるのではないかと思う。

 まずプレビューに行っての第一印象だが、「人、少なっ!」という感じであった。経済状況によってバイヤーが減っているということと、プレビューとセリの間隔が中4日になったことの両方が影響していたのだろう。

 合田さんのコラムで報告されていた通り、セリ場は場外馬券売り場にすることも見据えて施設のグレードアップが図られていたのだが、一方でプレビュー当日は以前提供されていたランチボックスがなくなったり、全体的に簡素めの演出であった。

 まあ弁当は自分で買え(スタンド内部では場外馬券を売っており、そこでは売店が開いている)という話だが、ちょっと困ったのは電光掲示板の不具合。ヒップナンバーを表示する部分の下ひとケタが壊れており、常時アナウンスに対して集中していないとならないのは不便だった。

 そんなわけでプレビュー当日はちょっとビンボーくさい雰囲気も漂っており、最終的にはそれを引きずった……というわけでもないだろうが昨今のセールの例に漏れず市況はいまひとつ。ただ、気をつけなくてはならないのは、そういった状況と上場馬・購買馬のレベルは関係ないということである。

 今年のバレッツはもともとカタログが薄く、さらにプレビューの段階で120→90頭となっていた。数は少ないが、今の状況でフロリダのコンサイナーが売れもしない馬をダメ元で連れてくるということはないから、ある程度の水準にはあるはずだ。

 さらに、アメリカ人バイヤーとの競合が少なくなったぶん、日本人が買いたい馬を買えるようになっているという事情もある。もちろん日本の馬主層も金融危機の影響は受けていのだが、それでもアメリカ人よりダメージは少ない。さらに為替が円高に振れているので、ここ数年よりはだいぶ買いやすい状況にある。

 ……とまあ、こんな説明は合田さんとほぼかぶっているのだが、今回のセール見学は実際に「買いやすくなっている」と確信する結果になった。

 というのも、日本人が購買した馬は5頭すべて、私がマークした馬の中から出たのである。今回私がマークし、厩舎に見に行ったのは30頭。全体の3分の1にすぎない。しかも「このくらいなら安く買えるのでは」といった基準ではなく、純粋に良い馬、良い血統、良い時計……といった基準で選んだ30頭で、すべてをカバーできていたのである。

 以前はどうだったかというと、とてもじゃないがそうはいかなかった。多い年には全体の3分の2を厩舎で見てきたが、それでも「えっ!? あんな馬買うの!?」といった購買馬が出てきてカバーしきれないことがあった。

 つまり、以前は単に「良いから買う」というのではなく、「買えそうな中で良いやつ」という妥協的な購買もあったということである。それがいまでは、妥協が必要なくなり、日本人バイヤーの予算で十分に良い馬が買えるようになった。

 実際、今回の日本人購買馬の中には、私が下見中にベスト3に入れていた馬が入っている。それがどれか……ということは申し訳ないが赤本が出てからのお楽しみということにさせていただきたい。


※次回は4/3(金)に更新いたします。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。


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