トライアルが一通り終わって、クラシックへの参戦権を獲得した馬(の第一弾)が決まりつつある。
このあと桜花賞・皐月賞が行われ、その後のGIも含めてPOG上のポイントが大きく動くわけだが、その大ポイントを取れる・取れないは、GI当日の運に左右される面が多い。POG上の実力(指名者の)を計るためには、クラシックコンテンダーや、この時期での収得賞金上位馬を指名できているかどうかのほうが良い物差しになる。
というわけで、現3歳世代の収得賞金上位馬を改めて見渡してみたのだが……ひとつ驚いたことがあった。セール取引馬、特に高額馬が本当に少数しかいないのだ。
3月末現在で収得賞金が900万円を超えている馬(2勝馬が900万円なので、1勝+オープン特別とか重賞で連対した経験があるといったことになる)は61頭いるのだが、そのうちセール出身馬は18頭と3割しかいない。しかも、18頭のうち2000万円未満の比較的リーズナブルな馬が11頭。そのうち1000万円未満が6頭だ。
反対に高かったのは
トーセンジョーダンでセレクトセール1歳セクション1億7850万円。いわゆるミリオンはこの馬だけで、あとは
ミッキーパンプキン7140万円がいるくらいだ。
これを「安い馬でもチャンスあるんだね〜」と考えるか「高馬ってリスキーだね〜」と考えるかはその人次第だが、とりあえず自省しておかねばならないのは、POG取材がセール高馬に引きずられすぎているということだ。
この世代と今年の2歳世代あたりはセレクトセールがいちばんバブリーになっていた頃であり、私個人は「値段にだまされるな」という意識は持っていた。しかし、それでもまだ足りなかったというのがいま振り返ってみての感想だ。
反対にもっと重視しなくてはならないと再認識したのが、社台グループの庭先取引馬。
ロジユニヴァース、
ワンカラット、
ダノンベルベール、
アイアンルックなどなどだ。
実はこれらの馬を無視していたわけではなく、1年前にその存在をはっきり認識していた馬もいる。ただ、似たような状況にあった馬は他にもたくさんおり、結果論で語ってもなお、「この馬たちは取れた」とは言えない。庭先組も含めて牧場での評判も聞いてはいるのだが、「良い」と言われる度合と実際の結果の間には、そう強い相関関係はないようにも思う。
手掛かりがあるとすれば厩舎か。社台グループの馬が入っているのだからそう変な厩舎でないのは当然なのだが、前出の馬たちは皆、赤本の厩舎コーナーで取り上げているところばかりである。ならば、値段と血統価値で優先順位をつけることさえやめれば、もうちょっとなんとかなりそうではないか。この辺りが今年の赤本製作を進めるうえでの課題である。
※次回は4/17(金)に更新いたします。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「
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