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ドラフト前に、種牡馬についての整理を

  • 2009年04月17日(金) 13時45分
 今年もぼちぼち2歳馬の取材が進んできたが、やはり人気の中核を成すのは社台グループの育成馬。皆さんのドラフト上位候補もおそらく社台グループの馬が多いだろう。

 どうしてもドラフト直前になると「情報」で良い・悪いの話に夢中になってしまうので、いまくらいの時期には、種牡馬の勢力図について整理し、自分で重視したいポイントを決めておくのがよいのではないかと思う。

 今年の社台グループ生産・育成馬、最初のポイントは新種牡馬の目玉、ゼンノロブロイデュランダルが成功するのかどうかだ。

 当歳セール時点では、ゼンノロブロイ産駒の評判がイマイチで、デュランダル産駒が好評だった。しかし、ここにきて2歳馬の評価では互角になっている。

 ゼンノロブロイ産駒は距離の融通性があるという点でデュランダルに勝るが、対象馬が絞りにくい。価格を素直に評価するなら社台の母アルゼンチンスター、クラブ馬で評判がよいということではNFの母シーズアン……あとは横並びの人気になると思う。

 一方デュランダル産駒だが、当歳時に坂口大師が「いちばんデュランダルに似ている」と言った(噂だが)のが母ウエスタンワールド(注:本馬も坂口大厩舎に入るというのではなく、関東入厩予定)。一方、社台でいちばん話題になりそうなのは母ミスベルベール。大型のようなので、仕上がりがポイントになりそう。

 ちょっと変わったタイプでは母デローベが、距離がもちそう。というか、マイルでは明らかに距離不足というムード。秋最初の開催のデビューを目指すという。

 SS系で環境に恵まれた種牡馬はなんだかんだで成功するので、以上2頭の産駒からなにかしらを狙ってみるのは悪くない作戦だと思われる。

 種牡馬のポイント、2つめは「結局、キングカメハメハはどうなの?」ということだ。

 ネオユニヴァースと比較されることもあり、初年度はいまひとつの感もあったキングカメハメハ。ただ、ノーザンファームには今年も産駒がかなりおり、しかも繁殖牝馬のレベルが高い。これをどうするかだ。

 個人的には、「母の父サンデーサイレンス」に絞って狙ってみるのがよいのではと思っている。ベタなところでは母トゥザヴィクトリーヘ、母ローズバド母マストビーラヴド。ちょっと通なところでは母エルダンジュ。いずれも母系そのものに底力があり、さらにSSのサポートがあればなんとかなる、という理屈である。

 最後に3つめのポイントはキングカメハメハ以外の非SS系種牡馬をどううまく使うかということだ。

 紙幅もないので個人的な結論を書くと、クロフネあたりをうまくドラフト中〜下位に組み込みたい。SSやトニービンとの配合が高確率で成功するのは強み。社台では母エアウイングス母ダイヤモンドビコー母スプリングチケット、ノーザンでは母アドマイヤサンデー母ディクシージャズ、そして言うまでもなく(これはドラフト上位になるが)母マイケイティーズがいる。

 こういった話は特に目新しさがないように見えるが、いざドラフトになると焦ってしまって基本を忘れるもの。さとう珠緒のスペシャルウィーク作戦のように、はっきりした方針を持っていると有利になるのだ。


※次回は5/1(金)に更新いたします。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。

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