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素質の高さを感じさせるマイラー配合、バイブレイションズ

  • 2009年05月05日(火) 12時46分
【2歳】
エーシンダックマン(牡 栗東・坂口正則 父サクラバクシンオー、母エイシンチタニア)
 母エイシンチタニアは未勝利馬だが、エイシンツルギザン(03年ニュージーランドT-GII)の半妹にあたる良血。同馬はサクラバクシンオーの仔なので、本馬はエイシンツルギザンと4分の3同血の関係にある。Nijinsky、Dr.Fagerと、サクラバクシンオーとの相性の良さに定評のある血が母系に入り、配合全体に重厚さも感じられるので期待できる。

メジロオードリー(牝 美浦・大久保洋吉 父スペシャルウィーク、母メジロドーベル)
 母メジロドーベルはオークス(GI)、エリザベス女王杯(GI)[2回]、秋華賞(GI)、阪神3歳牝馬S(GI)と5つのGIを制した名牝。ただ、繁殖牝馬としては、初仔のメジロヒラリー(父エルコンドルパサー)が未出走のまま引退し、3番仔のメジロアレグレット(父アグネスタキオン)は6戦未勝利、4番仔のメジロシャレード(父マンハッタンカフェ)は1勝と、まだ期待ほどの成果は出していない。「スペシャルウィーク×メジロライアン」という組み合わせはブリトマルティス(08年マーメイドS-GIII・4着)が出ており悪くない。芝向きの中距離タイプ。

メジロキャメロン(牝 美浦・尾形充弘 父マンハッタンカフェ、母クライウィズジョイ)
 全兄にヒカルオオゾラ(08年エプソムCーGIII・2着)、半兄にメジロガストン(父スペシャルウィーク/08年ファルコンSーGIII・6着)がいる。「マンハッタンカフェ×トニービン」の組み合わせは、柔らかさが強調されすぎるせいなのか全体的にあまり成功しているとはいえないが、本馬の全兄ヒカルオオゾラの頑張りによって水準以上の成績に引き上げられている。母系の奥にある硬質のアメリカ血統が好影響を与えているのかもしれない。馬のデキが良ければ当然走ってくるだろう。

メジロマディソン(牡 美浦・谷原義明 父メジロライアン、母メジロサンドラ)
 母メジロサンドラは「メジロマックイーン×Sadler's Wells」というステイヤー血統で、現役時代は中長距離で活躍し、日経新春杯(GII)3着、カブトヤマ記念(GIII)3着などの成績を残した。初仔のメジロマリアン(父メジロベイリー)は[0-3-3-3]と勝ち切れないレースが続いている。本馬の父はメジロライアン。シエリル3×4という名牝のクロスが配合の注目点だ。3歳500万下にメジロルマン(父メジロマックイーン)という素質馬がいて、同じシェリルのクロスを持っている。とはいえ、このクロスは周辺血脈の重さもあってスピード不足の仔が出やすいという側面もある。そこをどうクリアするかが課題。もし走るような大物になる可能性がある。

コルドバ(牝 栗東・笹田和秀 父シンボリクリスエス、母マックスキャンドゥ)
 母マックスキャンドゥは報知杯4歳牝馬特別(GII)とサンスポ賞4歳牝馬特別(GII)の勝ち馬。春の二冠の両トライアルを制したものの、本番はそれぞれ5着、9着だった。父シンボリクリスエスはやや鈍重な面があるので、母系にはスピードに秀でた血を持ってくるのが吉。Mr.Prospectorを持ち、Jester 5×5のクロスが生じるキンググローリアスは悪くない。シンボリクリスエス産駒のJesterクロス馬といえばダノンカモン(08年東京スポーツ杯2歳S-GIII・4着)がいる。芝向きの中距離馬でダートもこなす。

サンディエゴシチー(牡 栗東・作田誠二 父マンハッタンカフェ、母ジェニーソング)
 父マンハッタンカフェには、大まかにいって成功する配合パターンが2種類ある。ひとつは、母系にBlushing Groomが入るもの。メイショウレガーロ、メイショウクオリア、ココナッツパンチ、オリエンタルロック、ベストメンバーなどがこのカテゴリーにあてはまる。もうひとつは、Mr.ProspectorとNorthern Dancerを併せ持つもの。こちらはマンハッタンスカイ、レッドアゲート、メイショウクオリア、アントニオバローズなど。本馬はその両方を併せ持っている。可能性を感じさせる配合だ。

バイブレイションズ(牝 美浦・伊藤圭三 父キングカメハメハ、母シャイアーズエンデ)
 毎日杯(GIII)3着馬ミダースタッチ(父Seeking the Gold)の半妹。もう1頭の半兄ケイアイダイオウ(父タイキシャトル)も5戦2勝と好素質を垣間見せている。父キングカメハメハはKingmambo系で、KingmamboはSadler's Wellsとニックスの関係にある。本馬はこの配合パターン。また、キングカメハメハの代表産駒フィフスペトルは母系にRivermanを持っているが、本馬はその近似血脈であるPursuitを持っている。高い素質を感じさせる好配合馬で、芝向きのマイラーだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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