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SS系種牡馬について整理してみる

  • 2009年05月29日(金) 11時00分
 ドラフト時期で既に終了した、あるいはリスト作りの真っ最中という人も多いことだろう。

 候補馬選びの際には評判記事なども参考にするだろうが、シンプルにして一番気になるのが「父」である。

 ただこの「父」のブランドイメージ、大当たりした産駒によって形成される度合が高く、そこに落とし穴が存在することもある。ちょうど、セレクトセールやJRAブリーズアップセールの印象が一部の活躍馬によって形成されるようなものである。

 そこで今回は、SS系主力種牡馬の3歳世代成績(5/25現在)について整理してみようと思う。

マンハッタンカフェ
 49勝、勝馬率 35.3%、1頭あたり賞金 930万円、1走あたり賞金 227万円
ネオユニヴァース
 43勝、勝馬率 27.1%、1頭あたり賞金 701万円、1走あたり賞金 155万円
スペシャルウィーク
 43勝、勝馬率 29.5%、1頭あたり賞金 753万円、1走あたり賞金 178万円
ダンスインザダーク
 43勝、勝馬率 31.0%、1頭あたり賞金 453万円、1走あたり賞金 113万円
アグネスタキオン
 38勝、勝馬率 26.8%、1頭あたり賞金 764万円、1走あたり賞金 201万円
ゴールドアリュール
 33勝、勝馬率 33.7%、1頭あたり賞金 523万円、1走あたり賞金 126万円
フジキセキ
 24勝、勝馬率 25.7%、1頭あたり賞金 470万円、1走あたり賞金 118万円

 マンハッタンカフェの好調ぶり、ネオユニヴァースの勝馬率が意外に高くないこと、反対にダンスインザダークの勝馬率がそれなりに高く、そのかわり大物が出なかったことなどが分かる。アグネスタキオンは配合レベル低下の跡が見られ、一部の牝馬がそれを下支えした格好だ。

 一方、数字だけでなく、「指名しやすいか」という問題も現実には存在する。社台グループの生産馬は情報も潤沢で把握しやすいが、日高系の場合は把握が難しかったりする。これが今年単純に「マンハッタンカフェだ!」とは言えない理由である。

 そこで、過去3世代(3〜5歳)における、社台グループ生産馬限定・POG期間限定(3歳6月まで)の成績をさきほどと同様に出してみた。

マンハッタンカフェ
42頭・25勝、勝馬率 47.6%、1頭あたり賞金 929万円、1走あたり賞金 278万円
ネオユニヴァース
29頭・25勝、勝馬率 55.2%、1頭あたり賞金 1909万円、1走あたり賞金 425万円
スペシャルウィーク
58頭・48勝、勝馬率 55.2%、1頭あたり賞金 1725万円、1走あたり賞金 390万円
ダンスインザダーク
111頭・47勝、勝馬率 42.3%、1頭あたり賞金 740万円、1走あたり賞金 177万円
アグネスタキオン
123頭・64勝、勝馬率 52.0%、1頭あたり賞金 1452万円、1走あたり賞金 369万円
ゴールドアリュール
27頭・12勝、勝馬率 44.4%、1頭あたり賞金 915万円、1走あたり賞金 231万円
フジキセキ
74頭・52勝、勝馬率 51.4%、1頭あたり賞金 872万円、1走あたり賞金 218万円

 アグネスタキオンがここ数年人気の軸だったことを考えてそれを基準とすると、ネオユニヴァースの初年度はかなりの内容だったことが分かるし、それ以上にスペシャルウィークの能力の高さに驚く。

 また、マンハッタンカフェは社台グループ生産馬に限定しても十分な指標が出ているし、「グループの中で目立たない」ということを考えるとそこから候補を選んでもいいように思える。

 渋いところではフジキセキ産駒の勝馬率に注目したい。繁殖牝馬のレベルが低下していた時期の指標でこれなら、やはりドラフト中〜下位の組み立てに使えそうだ。

※次回は翌週6/12(金)に更新いたします。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。

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