スマートフォン版へ

POGに向いた仕上がり早のスピード馬、ウィルパワー

  • 2009年06月23日(火) 00時46分
ウィルパワー(牝 美浦・手塚貴久 父キングカメハメハ、母トキオリアリティー)
 母トキオリアリティーは「Meadowlake×In Reality」というスピード配合で、現役時代は短距離で3勝。繁殖牝馬としては何を交配してもスピードタイプの仔を出している。最も出世したアイルラヴァゲイン(父エルコンドルパサー)はオーシャンS(GIII)の勝ち馬。本馬の父はキングカメハメハなので、1000〜1400mあたりを得意とする仕上がり早のスピード馬になりそう。いかにもPOG向きだ。

サンデーチョウサン(牡 美浦・奥平雅士 父ダンスインザダーク、母ステイヤング)
 毎日王冠(GII)を勝ったチョウサンの全弟。ダンスインザダーク産駒は母系にディクタスとノーザンテーストを併せ持つ配合が成功を収めており、ツルマルボーイ(04年安田記念-GI)、マッキーマックス(06年ダイヤモンドS-GIII)、そしてチョウサンがこのパターンから誕生している。単に活躍馬の全弟というだけでなく、ニックスの裏付けがあるので信頼できる。芝向きの中距離タイプ。

ダイワバーバリアン(牡 栗東・矢作芳人 父マンハッタンカフェ、母フェニックスバード)
 半兄ストロングガルーダ(父ダンスインザダーク)は、エーデルワイスS(1000万下)とくるみ賞(500万下)を勝って通算成績を5戦3勝とした素質馬。父がマンハッタンカフェに替わって大物感が増した。「マンハッタンカフェ×Kingmambo」はシンザン記念(GIII)を勝ったアントニオバローズと同じ。Northern DancerとMr.Prospectorを併せ持つマンハッタンカフェ産駒は成功しており、高い素質を感じさせる。芝向きの中距離タイプ。

ベストフューチャー(牝 美浦・畠山吉宏 父ロージズインメイ、母オリミツキネン)
 母オリミツキネンはクイーン賞(交流GIII)4着馬で、繁殖牝馬としてもアジュディミツオー(父アジュディケーティング/06年帝王賞-交流GI、04・05年東京大賞典-交流GI、06年川崎記念-交流GI、06年かしわ記念-交流GI)を出して成功した。本馬の父は新種牡馬ロージズインメイ。現役時代にドバイワールドC(G1)を勝ち、産駒はおそらくダート戦を中心に走るだろうと思われる。本馬は、兄の特徴と血統構成から考えて、ダート1800mがベストだろう。

ミッションモード(牡 美浦・藤沢和雄 父Galileo、母Royal Fantasy)
 母Royal Fantasyはドイツの大種牡馬Monsunの娘。現役時代は独セントレジャー(G2)、フランクフルトT(G3)を制し、フランスのヴェルメイユ賞(G1)でも2着となった。これに2008年の英愛リーディングサイアーのGalileoを交配して誕生したのが本馬。ヨーロッパで走らせても相当な評価を得たであろう良血馬だ。父はSadler's Wells系で、日本ではスピード面の弱点を見せて目立った産駒は現れていない。ただ、本馬は父母双方にドイツ血統を抱えているという配合的なアクセントがある。スピード面の対応ができればおもしろい。

ラブハミング(牝 栗東・坂口正則 父スペシャルウィーク、母シスターソノ)
 半兄レギュラーメンバー(父コマンダーインチーフ)は、JBCクラシック、川崎記念、ダービーグランプリと3つのダート交流GIを制した名馬。母シスターソノはエルフィンS(OP)2着馬で、2代母ロジータは南関東四冠を制した女傑。力強さが持ち味の一族なので、本領発揮の舞台はダートということになりそうだ。スペシャルウィーク産駒はダートもこなすが、いまのところ重賞クラスまで出世したものはなく、1000万クラスが上限となる。しかし、本馬にはこの壁を突破していく可能性を感じる。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング