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配合の力でブレイクの可能性あり、グラスピュア

  • 2009年06月30日(火) 23時46分
アツコ(牝 栗東・宮徹 父アルカセット、母ケリーリング)
 父アルカセットは現役時代にジャパンC(GI)をレコード勝ち(2分22秒1)した芝中長距離のスピード馬。ヨーロッパの重い芝よりも日本の高速芝に適性があった。今年の2歳世代が初年度産駒。母系にSadler's Wellsを持つKingmambo系は、NureyevとSadler's Wellsの4分の3同血クロスが生じるのでよく走っている。本馬はこのパターン(4×2)。とはいえ、父アルカセットが素軽いタイプとは思えないので、母系の近い世代(母の父)にSadler's Wellsを持つ本馬は、軽快さに欠ける懸念もある。仮にスピード面の不安がなければホームランの可能性も。

エフティフローラ(牝 美浦・鹿戸雄一 父アグネスタキオン、母ヴォルピア)
 母ヴォルピアはアルゼンチン産馬ながらブラジルで走り、芝1600mのG3を2勝した。繁殖牝馬としてはまだこれといった実績を残していない。母の父Ski ChampはアルゼンチンのG1ウィナーで、スキーパラダイス(ムーランドロンシャン賞-仏G1)、スキーキャプテン(きさらぎ賞-GIII)の半兄。本馬は、母系にSki Goggle(上記の3きょうだいの母)とLyphardを持つアグネスタキオン産駒なので、皐月賞馬キャプテントゥーレと配合構成が似ていなくもない。兄弟は走ってないが、この馬には期待してみたい。

グラスピュア(牝 美浦・牧光二 父ジャングルポケット、母グラスカーリアン)
 デビューした姉3頭はいずれも中央未勝利馬で、母グラスカーリアンも未勝利馬。近親にこれといった活躍馬はいない。しかし、配合的には見どころがある。母系にCaerleonとShirley Heightsを併せ持つジャングルポケット産駒にはトーセンキャプテン(08年函館記念-GIII、07年アーリントンC-GIII)がいる。また、Special=Thatch 4×5の全姉弟クロスもなかなか。凡庸なファミリーの出身ながら配合の力で出世する可能性がある。

スプリングサンダー(牝 栗東・昆貢 父クロフネ、母スプリングマンボ)
 半兄スズカマンボ(父サンデーサイレンス)は天皇賞・春(GI)の優勝馬。2代母キーフライヤーは希代の名繁殖牝馬ダンシングキイ(ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードの母)の全妹にあたる。母スプリングマンボは、Nothern Dancer、Raise a Native、Graustarkを5代以内にクロスさせており影響力が強い。こうしたタイプの良血牝馬とクロフネは相性がいいので期待できる。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

ハングリージャック(牡 美浦・加藤征弘 父フジキセキ、母シャンクシー)
 母シャンクシーはフランスでマイルのG2を2勝したほか、G1でも上位入線を繰り返し、京王杯スプリングC、安田記念にも出走した(7着、15着)。繁殖牝馬としても優秀で、過去に送り出した6頭はすべて勝ち上がっている。なかでもピクシーダスト(父サンデーサイレンス)は阪神牝馬S(GII)で6着となった。本馬の父はフジキセキ。同産駒のLe Fabuleuxクロス馬はあまり成功しているとはいえないが、サンプル数が少ないも事実なので、本馬が初の活躍馬となる可能性もある。芝・ダート兼用のマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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