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配合的完成度が高い逸材、ルクールダンジェ

  • 2009年07月14日(火) 00時00分
アルーリングライフ(牝 栗東・野村彰彦 父フレンチデピュティ、母アルーリングアクト)
 全姉アルーリングボイスは小倉2歳S(GIII)とファンタジーS(GIII)を勝った。母アルーリングアクトも小倉3歳S(GIII)の勝ち馬。母がMr.Prospector 3×3なのでスピードに関しては手堅いものがある。2歳戦向きのスピード馬で、馬のデキさえよければ姉同様の活躍が望める。

ゴールスキー(牡 栗東・池江泰郎 父ネオユニヴァース、母ニキーヤ)
 半兄ゴールドアリュール(父サンデーサイレンス)はダートGIを4勝した砂の王者で、種牡馬としても成功。ニルヴァーナ、オリエントチャーム、ナタラージャといった他の兄姉もコンスタントに走っている。母系にヌレイエフを持つネオユニヴァース産駒はロジユニヴァース、アイアムネオと同じ。パワー型の母系なので素軽さへの懸念はあるが、その点さえクリアできればおもしろい。

サルヴェレジーナ(牝 栗東・池江泰寿 父アグネスタキオン、母アドマイヤハッピー)
 半兄ウォータクティクス(父ウォーエンブレム)はアンタレスS(GIII)の勝ち馬、もう1頭の半兄キタサンアミーゴは弥生賞(GII)4着馬。母アドマイヤハッピーは年度代表馬エアグルーヴと4分の3同血の関係にある良血で、近親には多数の活躍馬がひしめいている。アグネスタキオンとの組み合わせも悪くないので楽しみが大きい。

ジョープライド(牡 栗東・中竹和也 父アルカセット、母ジョープシケ)
 半兄ジョーカプチーノ(父マンハッタンカフェ)はNHKマイルC(GI)の勝ち馬。父アルカセットは現役時代にジャパンC(GI)をレコード勝ち(2分22秒1)した芝中長距離のスピード馬。ヨーロッパの重い芝よりも日本の高速芝に適性があった。今年の2歳世代が初年度産駒。母系にSadler's Wellsを持つKingmambo系は、NureyevとSadler's Wellsの4分の3同血クロスが生じるのでよく走っている。本馬はこのパターン(4×4)。配合構成も良好で期待できる。

マチカネベンセイ(牡 栗東・西園正都 父トワイニング、母デリキット)
 半姉デリキットピース(父ホワイトマズル)は忘れな草賞(OP)など3戦2勝の素質馬。母デリキットの半姉にはオークス馬アドラーブルがいる。「トワイニング×サンデーサイレンス」という組み合わせはフサイチアソート(07年東京スポーツ杯2歳S-GIII)、ドリームガードナー(08年シンザン記念-GIII・2着)、ロールオブザダイス(09年佐賀記念-交流GIII・2着)と同じ。ニックスといっていいだろう。2歳戦から動ける芝向きのスピード馬。

ミルエンズパーク(牡 栗東・松田国英 父クロフネ、母オイスターチケット)
 全兄のブラックシェルはNHKマイルC(GI)2着、ダービー(GI)3着。全姉シェルズレイはローズS(GII)2着、チューリップ賞(GIII)2着。テスコボーイ4×3の母オイスターチケットがスピードを安定供給していることがこの血統のコンスタントな活躍につながっていると思われる。本馬も馬のデキがよければ兄姉同様の活躍が望める。

ユメユメユメ(牡 美浦・稲葉隆一 父Azamour、母Pattimech)
 半兄Far Lane(父Lear Fan)はダーレーS(英G3)の勝ち馬。父AzamourはNight Shiftを経てNorthern Dancerにさかのぼるラインで、現役時代にキングジョージ6世&クイーンエリザベスDS(英G1)など4つのG1を制した名馬。Azamourの母の父はLear Fanなので、本馬と兄Far Laneの血統構成はよく似ている。Lt.Stevens=Thong 5×4という全兄妹クロスは見どころがある。芝向きの中距離タイプ。英ダービーに登録がある。

ルクールダンジェ(牝 栗東・藤原英昭 父アグネスタキオン、母パーフェクトワールド)
 2代母Possibly Perfectはイエローリボン招待S(米G1・芝10f)など芝G1を6勝し、米芝牝馬チャンピオンに輝いた名牝。3代母Avasandには父アグネスタキオンと相性のいいRibot系のGraustarkが入るほか、Flower Bowl≒Your Host 3×3という4分の3同血クロスがある。この血はHyperion-Gainsboroughが核となっているので底力があり、アグネスタキオンの弱点を補う。半姉ダンシングクイーン(父Giant's Causeway)は現在3戦1勝だが、配合的な完成度の高い本馬には重賞クラスでの活躍も期待できる。芝向きの中距離タイプ。

ルーラーシップ(牡 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母エアグルーヴ)
 母エアグルーヴは牝馬ながら年度代表馬に輝いた女傑で、繁殖牝馬としてもアドマイヤグルーヴ(03、04年エリザベス女王杯-GI)、ポルトフィーノ(08年エルフィンS-OP)などを出している。本馬はキングカメハメハ産駒。基本的には芝向きだがダートもこなす。マイルから2000mぐらいがよさそう。

レーヴドリアン(牡 栗東・松田博資 父スペシャルウィーク、母レーヴドスカー)
 青葉賞(GII)を勝ったアプレザンレーヴ(父シンボリクリスエス)、すみれS(OP)を勝ったナイアガラ(父Fantastic Light)、阪神JF・2着のレーヴダムール(父ファルブラヴ)の下。母レーヴドスカーは異なる種牡馬から確実に活躍馬を送り出しており繁殖牝馬としての資質は極めて高い。スペシャルウィークとの組み合わせではNijinskyとRed Godのニックスが生じる。母はSir Gaylordを4×4で持っているが、この血は父スペシャルウィークと相性がいい。順調に仕上がれば大仕事も。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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