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セレクションセールを訪れて

  • 2009年07月24日(金) 11時00分
 セレクションセール1歳セクションの展示を見たところでこの原稿を書いている。
 
 今年からセレクションセールは月曜を展示のみ、火曜をセリのみとして、水曜に当歳セッションを行うこととなった。そのぶん購買者は前年までよりゆったり下見ができるようになっている。
 
 気の早い話だが、来年のPOGドラフト戦線に向けて、覚え書き的な原稿を書いておきたいと思う。本当はセリがすべて終わった後で書いたほうがいいのだが、それだと締め切りに間に合わないのでご容赦いただきたい。
 
 まず感じたのが、いわゆる「デキ」の面では以前よりもレベルが下がった感触がある。取材すると、ブラックタイプ基準のセレクションになったようだ。
 
 それによる影響は2つ考えられる。ひとつは、オーナー主導で馬を買う陣営に(POGプレイヤーから見た)リスクが増しているということだ。馬を生業としているオーナーならともかく、そうでないオーナーが血統に惚れてしまうと、結果として高値掴みになる可能性がある。
 
 もうひとつは、サマーセールに掘り出し物がたくさん出てくる可能性があるということだ。これまで日高系は当然ながらセレクション組がPOG情報の中心になってきたが、来年はその辺りを考えなくてはならない。
 
 続いて、展示馬を見て感じたことがもうひとつ。上場にあたりきっちりとした準備をされている馬とそうでない馬の違いがはっきりしている。
 
 セリに向けたボディコンディション作りがなされ、馴致もできている馬がいる一方で、言葉は悪いが「生まれたまま、育ったまま」じゃないのと言いたくなる馬もいる。
 
 競馬の難しいところは後者からも成功馬が出てきてしまうことで、それゆえ一部の牧場は旧来のやり方をやめようとしないのだろう。ただ、特に馴致の問題を考えた場合、やるべきことをやった馬のほうが将来の成功率が高いことは明らかだ。現時点での差異というのは、展示で馬を歩かせただけでも歴然。せっかく現場まで来たのだから、この点は重視していきたいと思う。
 
 偉そうなことを書いてしまったが、最後に展示を見た段階での個人的注目馬を挙げておこう。ローラー作戦的に見ているので見落としもあるし、あくまで私の好みベースということでご理解いただきたい。
 
 マイネルラヴ×ジョーセクレタリーの牡馬はジョーメテオの半弟。見栄えがするし、順調に2歳夏を迎えたらドラフト下位候補に向きそう。
 
 キングヘイロー×タイキフレグランスの牝馬はアポロティアラの半妹。バランスのいい馬体、距離適性はマイル寄りか。
 
 この2頭が牡馬牝馬のお気に入り1位。後は穴っぽいところを3頭。
 
 バランスオブゲーム×ホークズフォーチュンの牡馬はトーホウシャインの半弟。正直セレクションでは意外とも言える父だが、デキは多くの人から好評だった。
 
 リンカーン×マルカメイゲツの牡馬は祖母がマルカアイリス。全体的に太いシルエットの馬体だが父に似た雰囲気があり、歩かせると柔らかくて良い。
 
 サウスヴィグラス×リバティーベルの牡馬は母の父アサティス、叔父にタマモリッチという血統だけにどう考えてもダート馬だが、ダート短距離馬と割り切ればデキのわりにリザーブ価格が安い。
 
 穴の3頭はさすがにチャレンジしすぎかという気もするが、いずれもリザーブ価格500万円以下の馬だけに、こういう馬で勝ち上がると気持ちのいいものである。

※次週は辻三蔵さんが登場します!

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。


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