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8月2日、札幌の新馬戦から

  • 2009年08月07日(金) 11時00分
 8月2日(日)の札幌新馬は、POGファンにとって興味深いものであった。

 まず3Rを勝ったベビーネイル。コロナドズクエストのこの世代唯一の産駒ということで知られていたが、産地馬体検査の頃と比べても一段スケールアップした馬体で、レースぶりも楽勝だった。

 同馬はセレクトセール組ではあるが購買価格は2100万円。山本オーナーの馬としては安馬の部類に入るわけで、チーム山本全体を俯瞰すると、価格と結果が比例するとは限らないということを改めてしみじみ考えさせられる。もうひとつ、この馬は1歳セクションの出身なのだが、やはり1歳セリのほうがデビューまでの時間が短いぶん、計算が立ちやすい。今後のPOG情報においても、1歳セッション組の重要性がさらに増してくるだろう。

 続く4Rは、カワカミプリンセスの全弟、メイショウホンマルが優勝した。同馬はベビーネイルともども浦河の産地馬体検査受検組。そして赤本における須田のシルシはもっと厚くするべきだったと反省すべきところである。当日が雨だったことが、馬の印象にも影響してしまったかもしれない……まあこの辺りは、来年以降の参考材料としたい。

 同レースに出走し、3着だったアドマイヤテンクウは赤本における須田の「ドラ2」。しかしレース前は、正直に言ってドカ負けを覚悟していた。

 札幌に入ってからの稽古内容も散々だったし、当日のパドックでも明らかに太め。どこからどう見ても臨戦態勢にはなっていなかった。

 たまたまお会いしたノーザンファーム秋田場長にパドックの印象を伺ったところ、早来に居た頃と体形も変わっているような気がするとのコメントをいただいた。秋田先生が指摘したのは腹回りで、確かに早来の横手厩舎に居た頃はどちらかというとシャープなシルエットだった。また私の素人見立てでは、腰から尻にかけてのラインも春とは違うように思えた。

 そんな状況でもなんとかアドマイヤテンクウは3着できたわけだが、私が覚悟していたように、ドカ負けになっていたとしても不思議はなかったところだ。

 2歳馬には「育成で絶好調、入厩してアレレ?」というケースがよくあるが、そのメカニズムについては引き続き考えていく必要があるだろう。ドラフト時点で予知できるか否かによってはPOG戦線と関係のない話になってしまうが、それでも競馬ファンとして考えてみたいところである。

 現状私が持っている仮説のひとつに、大型馬の札幌・函館入厩があまりよくないのではというものがある。坂路のある育成場から移ってきたときに負荷がかけづらくなるからだ。

 その想像が正しいかどうかは別として、99年以降の6〜7月・函館(+今年の札幌)で行われた新馬戦の結果を見てみると、500kg以上馬の勝率は7.2%で、全馬平均の10.1%よりも低い。単純にデビュー時期として早すぎるということも含めて、イメージ以上のリスクがあるようだ。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。


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