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当たればホームラン、ドリームジャーニーの半弟ジャポニズム

  • 2009年08月11日(火) 23時46分
 アンムート(牝 栗東・矢作芳人 父グラスワンダー、母アンダンテ)
 母アンダンテは桜花賞(GI)8着馬で、半姉グランプリエンゼル(父アグネスデジタル)は函館スプリントS(GIII)の勝ち馬。代々良質の種牡馬を付けられておりポテンシャルの高いファミリーだ。「グラスワンダー×サンデーサイレンス」の組み合わせからは、スクリーンヒーロー、セイウンワンダー、サクラメガワンダーなどの活躍馬が出ている。芝向きのマイラー。

 ヴァンダライズ(牡 栗東・中竹和也 父ダンスインザダーク、母ピンクタートル)
 半姉レディパステルはオークス(GI)を含めて3つの重賞を制した名牝。母系にRed Godが入るので、父が持つNijinskyとのニックスが生じる。母系にRed Godを持つダンスインザダーク産駒にはフォルクローレ、ダンスフォーウィンなどの重賞入着馬がいる。芝の中長距離で本領を発揮しそうだ。

 ジャポニズム(牡 栗東・池江泰寿 父ネオユニヴァース、母オリエンタルアート)
 半兄ドリームジャーニー(父ステイゴールド)は、宝塚記念(GI)、朝日杯フューチュリティS(GI)を含めて6つの重賞を制した名馬。半姉アルスノヴァ(父ダンスインザダーク)も、屈腱炎で早期引退したものの2歳時にエリカ賞(500万下)を勝った素質馬だった。本馬は、Shantung≒シェリル4×4という近似血脈のクロスが鋭い。重厚で底力抜群だが、その一方でスピード面の足を引っ張る血なので、スピードの助けが欲しいネオユニヴァースの配合で成立するかどうかは判断の難しいところ。ただ、育成段階での評価が高い馬なので楽しみは大きい。イチかバチかの配合だが、吉と出ればホームランだろう。

 ダテノスイミー(牡 栗東・白井寿昭 父ブライアンズタイム、母アジュディケーター)
 東北の宮城県で生産された。母アジュディケーターはデビュー3連勝で京成杯3歳S(GII)を勝った早熟の快速馬。産駒はJRAで4頭出走し、勝ち上がったのは1頭のみと繁殖成績はイマイチ。ただ本馬は、Flower Bowl≒Your Hostess 4×5の4分の3同血クロスのほか、Flower Bowl≒Swaps 4×5の近似血脈クロスを持っているので注目できる。ダート向きのマイラーだろう。

 ティアランドール(牝 栗東・矢作芳人 父Action This Day、母Summertime Val)
 半兄アポロドルチェ(父Officer)は京王杯2歳S(GII)を勝ったほか、アイビスサマーダッシュ(GIII)で2着、3着、ユニコーンS(GIII)で3着などの成績がある。本馬の父Action This Dayは、Kris S.を経てRobertoにさかのぼる系統で、現役時代はブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)を制し、米2歳牡馬チャンピオンに選出された。アポロドルチェの父Officerとはまったく雰囲気の違う血統なので、本馬はアポロドルチェとは違ったタイプに出そう。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

 リリエンタール(牡 美浦・藤沢和雄 父Montjeu、母Anna Monda)
 母Anna Mondaは、ヴィットリオディカプア賞(伊G1)、独1000ギニー(G2)の勝ち馬。近年のヨーロッパではドイツ血統への関心が高まっており、本馬も母の父がドイツの大種牡馬Monsun、4代母Anna Paolaが独オークス馬なので注目できる。父MonjeuはSadler's Wells系の名競走馬であり名種牡馬。まだ産駒がデビューして日は浅いが、すでに多くのG1ウィナーを送り出している。母系にドイツ血統を抱えたMontjeu産駒には、Hurricane Run(05年凱旋門賞-仏G1、06年キングジョージ6世&クイーンエリザベスS-英G1、05年愛ダービー-愛G1)、Fame and Glory(09年愛ダービー-愛G1、08年クリテリウムドサンクルー-仏G1)がいる。血統背景、配合ともに申し分ないが、問題は日本向きとは思えないところ。ヨーロッパの芝2400m路線なら大仕事をやってのける可能性はあるが。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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