ここまでの2歳戦を振り返って、「ここにも取材に行っておけば良かったな」と反省をしている育成牧場が2つある。
それは浦河・BTCの施設を利用しているシュウジデイファームと、鵡川に牧場を構えているグローバルである。
シュウジデイファームは01年に開場。石川代表は新ひだか町の名門牧場にて生産と育成双方の仕事に従事してきた名うてのホースマンである。
BTCを利用する育成牧場としては後発だったシュウジデイファームの名前を一躍あげたのが、GII毎日王冠やGII京王杯SCなど10勝を挙げている
スーパーホーネット(牡6)の存在である。同馬を管理する矢作厩舎との繋がりも深く、先日のGIII函館スプリントSでもシュウジデイファームが育成し、矢作厩舎が鍛え上げた
グランプリエンゼル(牝3)が優勝している。
今年の2歳戦でもシュウジデイファーム=矢作厩舎のラインは順調な滑り出しを見せており、メイクデビューを
キョウエイアシュラ(牡2)と
モズ(牡2)が優勝。また
バトルレッド(牡2、伊藤大)もメイクデビューを勝利している。
モズは第二回産地馬体検査で初めて姿を見たが、仕上がりのいい完成度の高い馬体を見て驚きを感じた。札幌競馬場で行われたメイクデビューでも期待通りのレースを見せてくれて、単勝馬券を持っていたものとしてもホッとしている。
石川代表からは「クラシックを目指せる逸材」との声も聞かれており、個人的にもこれからのレースぶりに注目していこうと思っている。
グローバルは07年にむかわ町で開場。今の3歳世代が初めて手がけた世代となるが、その中でも今年、デビューした2歳世代の活躍が目立ってきている。 その中でも出世格となっているのが、先日の札幌2歳Sでキョウエイアシュラの追撃を凌ぎきった
ステラリード(牝2、森)だろう。
このレースの後、再びグローバルに戻って調整されていたが、日高町の育成牧場で様々な名馬に跨ってきた経歴を持つ後藤場長からは、「距離が延びても大丈夫です」との声も聞かれており、阪神JF、そして桜花賞も完成度の高さで押し切ってくれそうだ。
矢作厩舎と繋がりの深いシュウジデイファームのように、グローバルは今年、快進撃を見せている森厩舎に所属する2歳馬の育成に深く関わっている。この好成績をもたらしている背景にあるのは、直線1000mという屋内直線坂路の存在である。直線1000mという距離は民間の育成牧場では最長の規模であり、勿論、屋根が付いていることから季節や天気に関係なく調教を進めることができる。無論、後藤場長を先頭に、スタッフが覇気を持って馬に向き合っていることが、この好成績に結びついていることは想像にし難くない。
その後藤場長から、「牧場での評価は、ステラリードと並び立つ存在です」と期待を寄せられているのが
ストレンジラブ(牝2、牧浦)である。先日行われた札幌のメイクデビューでは3着に敗れているものの、直線で見せた脚は、距離が延びてから更に良くなりそうな印象を持たせてくれた。
ステラリードが阪神JFや桜花賞向きとするならば、ストレンジラブはオークスで真価を発揮するタイプとなってくれそうな気がする。
※次週(9/4更新)は、POGの伝道師・須田鷹雄さんによる「須田さんのひとりごと」です。
筆者:村本浩平
1972年北海道生まれ。大学在籍時代に「Number ノンフィクション新人賞」を受賞。現在はフリーライターとして活躍。特に馬産地ネタでは欠かせない存在。
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