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速攻タイプ種牡馬の価値を再認識

  • 2009年09月18日(金) 11時00分
 夏競馬が終わったところで2歳戦を振り返ってみると、やはり「早い時期向き」という血統はあるものだなということを再認識する。

 「速攻タイプ」というのはいまさら指摘する必要もない概念だし、ドラフトでも意識されていることだが、最近はあらゆる馬が早期デビューを目指してくることもあって、ちょっとイメージが曖昧になっているようにも思える。

 例えば、9/15時点で2歳戦における勝利度数1位種牡馬はサクラバクシンオー(10勝・2着10回)である。サクラバクシンオーが優れた種牡馬であることも早い時期から動けることも今更言う必要のないことだが、そのわりにドラフト時に「バクシンオーだから」という選び方はされていないように思える。

 それ以外の「速攻タイプ」となると、さらに意識される度合いは低いだろう。そこで今回は、来年度へ向けて「少なくともこの種牡馬たちの産駒は、血統でオミットしないようにしよう」という一覧を作っておこうと思う。選考基準は過去の成績+今年の2歳戦成績である。

 まずはスウェプトオーヴァーボード。個人的には「ドラ9、10で取ってみたい種牡馬ナンバーワン」だ。

 現1歳で血統登録されている産駒は68頭。うち社台グループの生産馬は2頭だけなので、来年はほとんど話題にならないはずだ。ただ、日高の生産者で規模の大きくないところでも、過去にオープン級を出した牧場でけっこう付けられている。穴ムードは高まっていると言える。

 2頭目はボストンハーバー。ダイワバンディットの頃はありがたがられていたのに、「輸入されるといきなり粗末に評価される」という種牡馬の典型的なパターンに陥ってしまった。こちらはどんな産駒でも評価するというわけにはいかないが、芝もダートもこなせる強みがあるので、育成での動きがいい産駒は素直に評価すべきだ。

 3頭目はマイネルラヴ。今年はまだ2勝だが、1歳セールに出てきた産駒はデキのいい馬が目立った。個人的にはジョーメテオの半弟を追いかけてみたいと思っている。

 新種牡馬の中では、デュランダルが将来SS系の中でこのようなポジションに落ち着いていくのではないかと思われる。なんだかんだ言って短距離タイプは、クラシックタイプと同じ格は与えられないからである。それでもいきなり重賞勝ち馬を出しているのだからポテンシャルは確か。上位で大駒タイプを取り過ぎたときに、下位でデュランダルという使い方ができそうだ。

 もう1頭、SS系の新種牡馬ではアドマイヤマックスにも同様の評価をしたい。岡田繁幸氏がかなり気に入っているというのはデキを見ての話だろうが、競走成績的にも十分な結果を出している。来年も50頭(今年は51頭)と産駒数が下がっていないので、成績もキープできると予想する。

 最後に、トレーニングセールにおいても結局はこういうタイプの血統を評価すべきなのだということを書き添えておきたい。

 特にJRAブリーズアップセールはセイウンワンダーの影響もあって中長距離タイプも売れてしまうが、実際に計算が立つのは、私が個人的に「抽選馬っぽい血統」と呼ぶタイプ。今年にしてもトーコーブロンコロジディオンドナルドバローズとそんなタイプが勝ち上がっているではないか。

※次週(9/25)は、辻三蔵さんが登場します!

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。netkeiba.comでは「回収率向上大作戦」も担当している。


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