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北米2歳ランキング

  • 2010年02月02日(火) 13時00分
 JPNサラブレッドランキングの2歳編に相当する、北米の2歳ランキング「エクスペリメンタル・フリーハンデ」が、ザ・ジョッキークラブから1月28日に発表になり、北米における2歳王者決定戦の位置付けにあるG1・BCジュヴェナイル(09年11月7日、サンタアニタ競馬場)の勝ち馬ヴェイルオヴヨーク(父インヴィンシブルスピリット)と2着馬ルッキンアットラッキー(父スマートストライク)が、レイティング126で横並びの首位に立ったことが明らかになった。

 距離8.5Fのレースに出走してきたとしたら、実際に与えられるハンデはいくつになるのか、を基本線として算出される「エクスペリメンタル・フリーハンデ」。現行の形となったのは1935年で、以来76年の歴史を誇るが、同率首位というのはこれが7度目(3頭横並びだった1946年と2003年を含む)のことである。

 BCジュヴェナイルではヴェイルオヴヨークに僅差で敗れたルッキンアットラッキーだが、BC以外は3つのG1を含めて5戦全勝という完璧な成績を残していることから、同率首位は「妥当な評価」というのが大方の見るところである。

 ちなみに2頭のレイティング126は、2歳牡馬の首位としては水準値で、普通のレベルにある2歳チャンピオンという評価となっている。

 一方、牝馬部門も、首位はBCジュヴェナイルフィリーズ勝ち馬シービーワイルド(父オフリーワイルド)と、同レース3着馬で通算成績6戦4勝(うちG1・2勝)のブラインドラック(父ポラーズヴィジョン)の2頭が横並びで、こちらもレイティングは牝馬の首位としては水準値の123であった。

 さて、牡馬の首位となったヴェイルオヴヨークとルッキンアットラッキーの2頭は、当然のごとく、5月1日に行われるケンタッキーダービーを目指すことになるが、ここで大いなる戸惑いを見せているのが、アメリカの競馬ファンたちである。

 2頭は本当に、ケンタッキーダービーの有力候補なのか………!?

 ここで両馬の略歴を、改めて御紹介しよう。

 ヴェイルオヴヨークはゴドルフィンの所属馬で、サイード・ビン・スルール調教師のニューマーケットにおける厩舎を本拠地に2歳シーズンを戦った。7月にヨークのメイドンでデビュー勝ちを果たし、続くヨークのG3・エイコムSでは5着に敗れたものの、続くグッドウッドの準重賞スターダムSで2勝目をゲット。その後、アスコットG2のロイヤルロッジS・3着、サンシロG1のグランクリテリウム2着と強敵相手に好走した後、サンタアニタのBCで大金星を挙げた。

 一方のルッキンアットラッキー。管理するのは西海岸に本拠地を置くトップトレーナーのボブ・バファートで、7月にハリウッドパークのメイドンでデビュー勝ち。続くデルマーG2のベストパルS、同じくデルマーG1のデルマーフューチュリティ、サンタアニタG1のノーフォークSと勝って、デビューから4連勝。BCジュヴェナイルでは、大外枠の不利をはねのけて直線で猛然と追い込んだものの、頭差届かず初の敗戦を喫したが、12月にハリウッドパークG1のキャッシュコールフューチュリティを制して、2歳シーズンを締めくくった。

 両馬の成績をまとめると、いずれも2歳時6戦を消化。欧州が本拠地のヴェイルオヴヨークは、6戦中5戦が芝で、残る1戦がオールウェザーのレースだった。

 一方、主要な競馬場がオールウェザー化されたカリフォルニアばかりで競馬をしたルッキンアットラッキーは、走った6戦すべてがオールウェザーコースのレースだった。

 すなわち、両馬はいずれも、ダートコースでの実戦経験が無い馬なのである。

 チャーチルダウンズを開催地とするケンタッキーダービーは、ダートコースが舞台だ。2頭の2歳王者が、果たしてダートでもオールウェザーでも同様の強さを見せ、同世代の精鋭たちを相手に優位を保てるのか。北米の競馬ファンは今、かつてない困惑の日々を送っている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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