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うなる矢作師、さすが「ウィリアムズ騎手」

  • 2011年04月28日(木) 18時00分
 国枝厩舎の馬が栗東遠征中に併せ馬をするときは池江厩舎にパートナー探しを依頼しています。マイネルキッツは去年の天皇賞と同じく、今年も池江厩舎に依頼していました。しかし、その相手がまさかトゥザグローリーとは…ビックリ!

「たまたまトゥザグローリーと併せるレベルの馬がいなかったので。今年も依頼されたことは嬉しかったですね」と池江師。そんなわけで水曜朝、ウッドチップコースではトゥザグローリーとマイネルキッツに池江厩舎のロリンザーユーザーをまじえた豪華な併せ馬が行われたのです。

 前でゆったりしたペースでかまえるマイネルキッツを2、3馬身後ろから追いかけるトゥザグローリー。先週に続いてトゥザの追い切りにまたがる福永騎手はじっくりと構えていましたが、3コーナー過ぎから徐々にペースアップ。4コーナーすぎに抜け出すとラスト1ハロンの地点で鞍上のゴーサインに機敏に反応。スッと馬体を沈めてそのままマイネルキッツに半馬身差をつけてゴールしました。時計は82.8-67.0-52.6-38.4-12.2秒。

トゥザグローリー


 騎乗した福永騎手は「最後の1ハロンだけビシッと、という指示だった。高いレベルでいい状態を保ってる」とトゥザの順調さを口にしていました。池江師は「稽古では派手な動きはしない馬なのでね。併せても大きく突き放すことはないです。それに併せた相手は天皇賞馬。先着して動きには満足しています」と納得の表情でした。

 先週のこのコラムでも書いたとおり、池江師はトゥザが最高のパフォーマンスを見せるのは「ダートの中距離」とみています。そういう意味でも、今回の天皇賞3200mという舞台は決してがっしりと合致したものではないと考えているようです。

「(距離適性は)過去のレースを見ても中距離があっているし厳密に言えば(適性は)ないと思います。ステイヤーはいかに道中我慢させるかが大事。だから中間はタメることを教え込みました」(池江師)

 トゥザグローリーへ寄せる期待はひじょうに高く、歴史的名馬と名を連ねるだけの器ととらえていました。そして「ゆくゆくは海外遠征をさせたい」とも考えているとのこと。天皇賞で勲章が取れればお母さんが2着だったドバイの地へ赴くこともあるのでしょうね。

 一方、マイネルキッツですが普段調教はあまり動かないことを考えれば、半馬身遅れとはいえ今回は十分なパフォーマンスを見せていました。83.4-68.0-52.8-38.5-12.2秒というラップが示すとおり、ラスト1ハロンはトゥザと同じラップを刻んでいますしね。こちらは順調にいけば、昨年断念したオーストラリアのメルボルンCへ行けるでしょう。そのためにもここではハクをつけておきたいところなのです。

 さて、来週はNHKマイルC。矢作厩舎はグランプリボス、ヘニーハウンド、キョウエイバサラの3頭出しを予定していますよ。1週前追い切りではグランプリボスとヘニーハウンドがポリトラックコースで併せ馬を披露。ボスがヘニーを追いかけるかたちで進み、4コーナーで体が併さると直線では一杯に追われたグランプリボスが馬なりのヘニーハウンドをかわしてアタマ差で先着しています。

 この動きに矢作師は「さすがウィリアムズ」と納得の表情を浮かべていました。

「ヘニーハウンドに騎乗した助手がゆっくりとしたヘニーハウンドのペースに持ち込もうとしていたから(ウィリアムズ騎手は)大変だったと思うけど。折り合いもついていたし、NHKマイルは前が速い馬も多いからあれでいいんじゃないかな。ここ2回は前に壁をつくれずタメる競馬ができていない。でも、タメれば絶対キレる馬ですよ」

グランプリボス

ヘニーハウンド

キョウエイバサラ


 あとの2頭については「ヘニーハウンドはまだ一度も負けていない。ヘニーがどんな競馬をするか、競馬ファンのような気持ちでワクワクしています。完成するのはまだ先だけど、よくなってきていますよ。キョウエイバサラは一番器用な馬。そこに付け入る隙はないかな?と思っています」と話していました。

 なお、来週のグランプリボスの追い切りはウィリアムズ騎手は乗せずに坂路で行う予定とのことでした。「東京のマイルは実力が結果に素直に反映するコース。だからこそ、グランプリボスにはいいはずなんだ。それにウィリアムズ騎手が乗るというのも縁だね。実は厩舎のマスコットの名前はウィリアムくんなんだよ(笑)。勝って予定どおりイギリスに行きたいね」(矢作師)

矢作厩舎のマスコット

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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