先週お伝えしたとおり、矢作厩舎はNHKマイルCに自信の3頭出し。でも、やっぱり一番期待が高いのは次にセントジェームズパレスS（6月14日、イギリスアスコット競馬場）への遠征をにらんでいるグランプリボスでしょう。



「すでに27日に出国する段取りは組んでいます。勝ってイギリスへいきたい」と矢作師。「亡くなった父のサクラバクシンオーを世界的な種牡馬にしたいという思いがあります。ヨーロッパには一頭抜けて強い馬（イギリス2000ギニーを勝ったフランケル）がいるけど、ぜひ対戦させたいね」と、抱負を語っていました。その夢を実現するためにもNHKマイルは落とせません。

「この春2戦の敗因ははっきりしています。2戦とも強い内容でしたが折り合いが課題であり、この馬のパワーがあらわれている点でもあると思います」

　この中間は折り合いを重点に調教を重ね、いい感じに仕上がってきたそう。先週はコース、今週は坂路での追い切り。騎乗者は先週に続いてウィリアムズ騎手でした。時計は52.1-25.3-12.3秒。指示は「普段だと馬の後ろで折り合っていても一気に交わしてしまうので、そうではなく徐々にかわすように」とのこと。そのとおり、折り合いに重きをおいての結果として派手なパフォーマンスは見せませんでしたが、矢作師は「よかったです。なにも心配していません」と言いますし、万全な状態での出走、とみました。

　注目しているのはエーシンジャッカル。追い切りは3頭併せ。かなり後方から追いかけて1頭（ミッキーハンター）は負かしましたが、もう1頭のコーストバンクシアには先着を許しました。しかし、これは高野師は気にしていませんでした。

「先着が厳しい状況を作り、根性と瞬発力に磨きをかけるのが狙いでしたからね。むしろ、1頭が突き抜ける調教にはあまり意味を感じていないんです。レースでは1頭が大きく抜け出す展開はほとんどないですしね」（高野師）

　これが高野厩舎開業後、初めてのGI出走となりますが「GIの厳しさは助手時代（松田国厩舎）で重々承知しています」と慎重な高野師。それでも「フジキセキ産駒は東京競馬場では強いですし、根性や瞬発力は天性のものを持っています」と高い期待を抱いているようですよ。Good Newsを楽しみにしています。



　ちなみにヒカルアマランサスはこの春競馬は見送り、秋にそなえるとのことでした。昨年、ブエナビスタをアッと言わせただけに春不参戦は残念ですが仕方ないですね。半年後に期待しましょう。

　さて、来週のヴィクトリアマイルに向けてブエナビスタが順調に追い切りを消化しています。水曜朝にはいつもどおりウッドチップコースで78.9-64.2-50.9-38.1-13.3秒の時計を出しています。「少し速くなったけど、1回速いところをやっておけば馬が落ち着くからね」と松田博師。ブエナの場合、「変わらない」（松田師）のが一番です。「昨年のヴィクトリアマイルより状態がいい」そうなので、あと10日「変わらない」状態をキープする姿を見守ることにしましょう。




　桜花賞馬マルセリーナはオークスに向けて2週前追い切りを消化しています。「水曜日で実質3本目の追い切り」（大当助手）でウッドチップコースで84.5-67.9-52.4-38.5-12.3秒（強め）という時計を出しています。



　線が細くなりがちなのが心配ですが「体は桜花賞の頃よりいくぶんフックラしている」（大当助手）とのことでした。松田師も「以前に比べて追い切りでも動くようになった」と笑顔。こちらも引き続き順調さを保ってくれれば言うことはありませんね。



　青葉賞を勝ったウインバリアシオンは、安藤勝騎手を背にダービーへ向かうことが決まっています。青葉賞では上がり33秒6の末脚を披露。レース後はさすがに疲れをみせたそうですが、それも長引くことなく火曜には乗り運動を再開。コズむことなく元気な姿を見せていました。「レース後は疲労回復に専念させるため、好きなだけ食べさせています。食欲も旺盛だし、とても元気がいいですね。もうちょっとゆっくりさせて徐々にカイバを調整し、本番も同じくらいの体重（500キロ）で臨みたいですね」と竹邑厩務員はダービーに向けて馬体の仕上げについて構想を練っていました。



　そう、あと3週でダービー。ほんとに1年はアッという間にすぎていきますね。