今週のヴィクトリアマイル、やっぱり気になるのはブエナビスタでしょう。



　体調は昨年の今ごろに比べたら格段にいい。松田博師も一貫して「昨年に比べて今年のほうが疲れがなくていい」と話しています。とはいえ、追い切りが少々物足りないのも事実。10日朝、ウッドチップコースで追われたブエナビスタは83.9-67.6-52.1-38.0-12.6秒という時計を出しています。馬場も悪かったですし、数字的には問題ありません。でも、ゴール前でステッキを入れられてもグッとギアチェンジするような迫力がありませんでした。その後ろを走っていたマルセリーナが実にキビキビと軽快に動いていたから余計にそう感じたのかもしれません。



　しかし、そんな両馬の動きを松田博師は「そりゃ、(ブエナビスタを)若い馬と一緒にしたらかわいそうだろ」と一笑に付します。「馬も人間も年をとったら余計なところで力を使わなくなる。こういう違いは出て当然。この馬の調教がいつもどおりにできていればいいんだ」とまったく意に介した様子はありませんでした。

　マイルは5戦5勝。材料的には負ける要素は限りなく少ない今回のブエナビスタですが、5歳や6歳になって気持ちが終わってしまい、成績が上がらなくなった牝馬はたくさんいます。ブエナほどの女でもその例に当てはまるのか…。気になりますね。

　かつて、ダイナアクトレスという名牝がいました。ジャパンカップ3着、牡馬と互角に戦い当時の日本レコードも更新した馬で大好きだったんですが、あれほどの女傑でも5歳(当時の表記では6歳)秋には調教は動いても競馬で結果を出せなくなりました。とはいえ、毎日王冠5着とか天皇賞・秋4着とか、掲示板には載るんですけどね。

　主観ですが、ブエナ自身の闘争心がどれだけあるか、が鍵だと思います。とにかく状態は文句なし。強いて言うなら、お母さんになりたがる牝馬は得てして馬体重が増えがちなので、馬体重はあまり増えていてほしくないです。

　一方、ブエナビスタのすぐ後ろを走っていたマルセリーナはいたって順調。ピチピチしてます。単走でちょっと軽めでしたが、同じくウッドチップコースで89.5-73.0-57.4-42.7-12.8秒。こちらは馬なりでひじょうに軽快でした。オークスニ冠へ向けて順調そのもの。松田師も「思ったとおりの調教ができているし、よくなっている」とご満悦でした。ちなみに検討されていた英遠征は見送られました。





　さて、打倒ブエナと息巻いている陣営を探していたら…。いました、ショウリュウムーン。中間の追い切りは「やってもへこたれないからね。甘やかさずビシビシやった」(佐々木師)とのこと。最終追い切りは「ゆっくり入って終い伸ばすかたち」(佐々木師)との言葉どおり、坂路で53.4-39.1-25.3-12.6秒とゴール前にキッチリ追われていました。そして騎乗する浜中騎手は「東京の長い直線なら最大の武器である末脚をフルに生かせる」と熱く熱く豊富を語っていました。そして何度も「一発を狙いたい」という言葉を口にしていました。「自分の競馬に徹する」といいますし、最後の直線に賭ける乗り方をするのでしょう。これは楽しみです。



　金鯱賞で復帰予定のアーネストリーは、ひじょうに順調に調教を重ねています。「金鯱賞のあとは宝塚記念。可能であれば札幌記念をはさんで凱旋門賞へ行きたい」と佐々木師。腰に不安を抱えて春シーズンを断念しましたが、休んですっかりよくなった様子です。目下の課題は「ダイエット」(田重田厩務員)。「最近は急に暑くなったり寒くなったりして…、思うように汗がかけないこともあって馬体重の調整の計算がしにくいんだ。腰はすっかりよくなった。いまはまだ少し太めなので、レースまでにはきっちり減らして万全の体勢で臨みたい」(田重田厩務員)。この狂ったお天気は、馬たちの調整にも大きな影響を及ぼしているんですね。



　最後に2歳馬情報。佐々木師が「これは走る！」と太鼓判を押しているのはダローネガ(父・ダイワメジャー、母カメリアローズ)。「気持ちがすごく前向き」(佐々木師)という言葉どおり、人を乗せた瞬間にグッと気合いを表に見せていましたよ。6月19日の阪神芝1600戦でデビュー予定です。