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菊花賞

  • 2002年10月21日(月) 11時57分
 武豊騎手はこの日、10Rまで[5-4-0-0]着だった。さすが、と思うと同時に、ひょっとして肝心のノーリーズンでは…。悪い予感がしたファンもいたかもしれない。スタートでよもやの落馬。滑り落ちながらも手綱を離さず、再騎乗しようとするかのごとき執念をみせたがさすがに無理だった。こういうアクシデントだけは避けられない。

 大波乱をもたらした次の要因は、もう1頭の人気馬ローエングリン(岡部騎手)。押さえが利かずムキになってダイタクフラッグをかわし、1000m通過58.3秒の暴走。中盤の1000mを66.4秒という、今度は異常なスローに落とし、レースの流れを極度に乱してしまった。結果7.9秒差の16着はひどい。

 勝ったヒシミラクル(父サッカーボーイ)は先行すると思えたが、前半は後方に控え、ファストタテヤマなどどほとんど同じ位置。乱ペースに巻き込まれなかった。それでも決して恵まれたわけではなく、2000m通過2分4秒7のきびしい流れを、3コーナー手前から徐々に進出。4コーナーではもう先頭集団に並んでいる。

 長距離型が少ない中、伏兵ヒシミラクルはもっともステイヤーであって不思議ない血統背景を秘めていた。オールドファンは、ヒシミラクルのファミリーが伝説の上がり馬アカネテンリュウと同じ(3代母がアカネテンリュウの半妹)で、菊花賞のために存在するようなヒンドスタンの血を伝えている点に注目すべきだったろう。

 メガスターダムは同じように早めにスパート。力は出し切っている。距離をこなして不思議ない牝系の血が前面に出たとはいえ、ニホンピロウイナー産駒だから立派だ。無欲のファストタテヤマも底力があった。

 ただ、この上位陣。きびしい内容だっただけに、次走は反動をチェックしたい。ジャパンCなどで飛びつくのは危険だ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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