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浅野靖典さんインタビュー前編

  • 2011年06月07日(火) 12時00分
POG本「赤本」で毎年執筆をしている浅野靖典さん。今年も北海道の牧場をめぐり、未来のダービー馬を探してきました。そんな浅野さんが足で稼いだとっておき2歳馬情報をお届けします!

◆昨年はマルセリーナ指名

赤見 :浅野さんが最初にPOGを始めたのはいつですか?

浅野 :98年。グリーンチャンネルのキャスターにしていただいた年でございますね。スタッフみんなの話題を聞き耳していたら「やらないか」って誘われまして。まあ「シメシメ」と思われたんでしょうね(笑)。その当時の自分って、厩舎も血統もよく分かっていない、ただの馬券野郎だったんですよ。

赤見 :ええっ? それまでも競馬はやってきていましたよね?

浅野 :うん。ただ、ギャンブル的な魅力から競馬に入ったので、キャスターになった当初は競馬雑誌も読まないし、その馬のバックストーリーや血統すらもロクに分かっていない状態。予想の根拠は勘と前走成績くらい、そのレベルだったんですよ。まあ、キャスターになってからはレースはほとんど全部見ていたし、「何月何日の何Rは何が勝った」って言えるくらいではあったんですけどね。

赤見 :今の浅野さんからは想像つかないですね…。

浅野 :まあ、その当時は、毎週毎週の積み重ねが全部栄養になって行くわけで、それでだんだんと活躍している馬、牧場なんかに気がつき始めたんですね。実際にそれがちゃんと機能するまでには2年くらいかかっています。

赤見 :赤本で執筆し始めたのはいつからですか?

浅野 :02年です。役割は、今と同じで日高の牧場めぐりでした。北海道の牧場にはその前からちょこちょこ行っていたんですよ。また、日高の牧場レポートというのはそれまでの赤本ではやっていなかったので、ぜひとお願いして担当させてもらうことになって。

赤見 :赤本を作るシーズンになると、メールも返って来ないくらい忙しいですよね。毎年、毎年、赤本の出版に向けては相当なエネルギーを?

浅野 :えっ、返事返してなかったけ!? それはすみませんでした(苦笑)。その時期は編集作業と校正作業もしていますからエネルギーを使いますよ。それから原稿の事実関係とかに間違いがないかどうかメチャメチャ気になります。何回も何回も確認しても、やっぱり心配ですね。本ができた今でも心配です。

赤見 :できあがった時はそういう心配をしつつも、達成感がありますか?

浅野 :いや、達成感はないです。業務は終わっているけど、終わったと思ったことはないですね。だって、自分が書いた文章が大ウソになる可能性があるわけじゃないですか。それは緊張しますよ。書いたことへの責任は感じています。けど、責任は取らないですけどね(笑)。

赤見 :あはは(笑)。昨シーズンの成績はいかがでしたか?

浅野 :POGはいくつかのところでやっているんですけど、某所のPOGでは、母マルバイユを。

赤見 :ということは、マルセリーナ!?

浅野 :マルセリーナです。産地馬体検査で「これはもう、間違いないだろう」と。直感です。あと、レーヴディソールもそう思いました。まあ、レーヴディソールを挙げてもつまらないですからね。というか、抽選負けして取れなかったんですけど。というわけで、もう、マルバイユ様々でございます。赤本の方(誌上ドラフト)は、まあ、ちょっとどうにもならなかったですね。社台系を指名しないという自己ルールが大きいんですけど……。

赤見 :厳しいルールを作っちゃいましたね。でも、もうひとつの方ではマルセリーナを!

浅野 :はい。去年はマルセリーナが最大のヒットですね。

赤見 :マルセリーナもそうですが、去年はディープインパクト産駒が席巻。

浅野 :うん、上々じゃないですかね。ディープ産駒では、カーラパワーの仔ダノンシャークがいいなと思っていたんですが、これ、指名しそびれたんです(泣)。誌上ドラフトのリストに入れる30頭を決める時に、完璧に忘れていて。

赤見 :あ〜、もったいないですね。あとは、思った以上にハーツクライが活躍したなと思ったんですが?

浅野 :産地馬体検査の時に、牧場の人からも「結構いけそうだよ」という話は聞いていましたよ。ハーツクライ産駒は馬格がいい馬が多いですからね。ただ、今年のダイワメジャーもそうなんだけども、喉鳴りは遺伝すると言われているんですよね。そこだけがリスキーだなと思っていたんですが、今のところそういうのは出ていないみたいですね。

赤見 :なるほど。今年のPOG取材はいつ頃から始めたんですか?

浅野 :極端なことを言ったら当歳時からなんですけれど、そういうのは抜きにして、今年の場合は3月下旬からですね。この期間に北海道には3回行きました。で、プラス産地馬体検査ですね。

赤見 :何場くらい回ったんですか?

浅野 :赤本の中で僕が書いたのは、山口ステーブル、愛知ステーブル、マイネルの3つの牧場、ノルマンディーファーム、下河辺牧場、大山ヒルズです。プラス原稿抜きで訪問したのが、西山牧場、グローバル、三嶋牧場、内田ステーブル、岡山の栄進牧場。あと日高の育成公社に「こんにちは」みたいな感じで行きました。

赤見 :結構行かれていますね。そこで何頭くらい見るんですか?

浅野 :産地馬体検査を除いたら300頭くらいじゃないかな。ラフィアンの所属馬は基本的にほとんど見ています。実は、去年はあまり牧場を回れなかったんですよ。だから、今年の方が見ている数は多いです。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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