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高田建吾持ち乗り助手インタビュー前編

  • 2011年06月21日(火) 12時00分
春のGIラストを飾る宝塚記念。前哨戦の金鯱賞で、出遅れから劇的勝利を収めたルーラーシップには、注目せずにいられません。この強さ本物か、高田建吾持ち乗り助手を直撃します。

◆「エアグルーヴの仔」

:金鯱賞(11/5/28、京都芝2000m)を驚くレースぶりで勝利したルーラーシップについてお聞きしていきたいのですが、単勝2.8倍の1番人気に支持されていた中、スタートでまさかの大きな出遅れ。

高田 :はい。

:ところが、後方追走からじわじわと追い上げて、ゴール手前で先行馬をまとめてかわしてしまうという…あの強さに驚いてしまいました。ドバイ遠征(ドバイシーマC、11/3/26、UAE芝2410m、6着)から帰国して、2か月間空いてのレースでしたが、この間はどのような調整をされてきたんですか?

高田 :まずはドバイの疲れを癒すために放牧に出して、放牧先でいろいろとケアをしてもらいながら、ひと月前くらいに厩舎に帰ってきました。

:そこから厩舎で調整していって?

高田 :はい。調整自体は普段通りに進められてはいたんですけど、そこからがいつものイメージだと、乗り込んでいくとだんだんだんだん気も乗ってきて、という感じだったのですが、今回はその上昇カーブが小さいように感じまして。

:そうだったんですか!? 状態にちょっと物足りなさを感じられた?

高田 :ええ。正直、春先に比べたら「まだもうちょっとなのかな?」という感じを受けました。乗っていても、そこまで迫力も感じなかったんです。これまでなら、乗っていてすごくパワフルな感じを受けたんですけど、今回は今までと比べるとちょっと大人しいような印象だったんですよね。それで「ちょっと物足りないような気がします」とは言ったんです。

:そうすると、レース前は「どうなのかな?」という思いもあったんですか?

高田 :そうですね。ちょっと半信半疑なところはありました。ところが、競馬の内容も内容でしたし、馬場も馬場で、それで勝ってしまうんですからね。能力はかなり高いものを持っているんじゃないかなと思いました。

:その物足りなさの原因は何だったんでしょうか? ドバイ遠征の疲れもあったんですか?

高田 :というより、精神的な成長なんだと思います。

:あ、迫力がなかったのではなくて、精神的に成長して落ち着きが出たという?

高田 :そういうことだと思います。

:ルーラーシップにとっては、初めて最後方からのレースとなりましたが、レースを終えての疲れは大丈夫でしたか?

高田 :そこはだいぶ気にしていたんですけど、意外とそこまでのダメージはなかったですね。今はもう、厩舎で普通に調教をしています。

:ルーラーシップの調教で、何か気をつけていることってありますか?

高田 :ちょっと癖があるので、その癖を分かっていれば割と乗りやすい馬なんですけど…。知らない人が乗ると結構乗り難しい面はあるんですよね。

:どんな癖を持っているんですか?

高田 :坂路を下って行く時に、急にふっ飛んでいったりするんです。

:下りで…それは怖いですね。

高田 :ええ。あとは坂路でスタートする時も、ボーンっと行っちゃったり。そうなりそうな時の気配はもう分かりますから、それに備えてこっちは構えるんですけどね。でも、精神的な成長と共に、今はだいぶ良くなっています。

:性格的な癖はありますか?

高田 :性格的な癖は特にないです。昔はやんちゃでしたけど、今は落ち着いてきていますからね。いつ頃から落ち着いてきたかな?

:去年のダービー(10/5/30、東京芝2400m、5着)の後、鳴尾記念(10/12/4、阪神芝1800m、1着)まで半年休んでいますが、その休みを経てとか?

高田 :そうですね。急激に落ち着いたわけではないんですが、時間が経つにつれてという感じです。その半年空いた時に、「ちょっと落ち着いてきたな」と感じて、今回帰って来た時も、またさらに落ち着いている感じを受けましたね。

:初めはやんちゃだったということですが、当時を振り返ると、新馬戦(09/12/27、阪神芝2000m)では1番人気に支持されて、3馬身差の圧勝。この頃から「この馬はやってくれるな」という期待を持たれていたんですか?

高田 :そうですね。やっぱり、血統も血統ですから。

:良血馬ぞろいの角居厩舎の中でも、「エアグルーヴの仔」というのは特別なものがありますか?

高田 :そうですね。やっぱり「エアグルーヴ」と聞くと、みんな「おおっ」という雰囲気にはなります。それに「乗り味がかなり良い」と話題にもなっていたんです。柔らかくてのびやかなフットワークなんですよね。

:柔らかくてのびやか。

高田 :ええ。キングカメハメハの仔って、そういうのびやかな走りをする仔が多いのかなという気がします。それに、エアグルーヴの仔は乗りやすいというか。柔らかいのが多いんですよね。そこを活かせれば、競馬でも走るだろうというように思っていました。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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