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南部杯@東京競馬場

  • 2011年07月01日(金) 18時00分
 盛岡競馬場で行われているJpnIのマイルチャンピオンシップ南部杯が、今年は10月10日の東京競馬場で行われることが29日に正式に発表となった。

 一部スポーツ紙などでは先行して報じられていたが、正式発表によって明らかになったのは、東京競馬場での南部杯がJRAの主催として行われることと、その南部杯の売上げの一部が震災復興の支援金として岩手県競馬組合に拠出されるということのみ。

 ファンがもっとも知りたいのは、馬券はどこで買えるの?ということだろう。

 JRAの主催となるからには、おそらくJRAの施設(地方の競馬場に常設されているJRAの発売施設も含む)や、JRAのネット・電話投票システムでの発売に限られるのだろう。しかし、地方で行われていたレースをJRAのレースとして開催するということは前例のないことだけに、不安に思っているであろうファンに対して、少なくともそれだけは最初に明確に示してほしかった。

 昨年末、中央・地方の相互発売拡大についての発表があり、いずれ地方競馬の施設でもJRAのレースも重賞を中心に馬券購入が可能となるが、実施されるのは2012年度が目標とされている。それゆえJRA主催となる今年の南部杯は、地方競馬の施設や地方のネット・電話投票システムでの投票は行われないと考えるのが自然だろう。

 さらには、賞金や中央・地方の出走枠などについても明らかにされていない。今後、中央と地方の間で調整しなければならないこともあるのだろうし、そもそもJRAの秋季競馬番組の発表がこれからのことなので、それと同時に調整されるものなのかどうか。現時点でそうした数字を明確に示すことができなくても、それがいつ発表になるのかだけでも示してほしかった。

 岩手競馬では、かつて交流のGIとして行われていたダービーグランプリが、07年には馬インフルエンザの影響によって地元のみのレースとして行われ、それをきっかけに08年からは財政難を理由に休止。昨年復活したものの、地方のみの全国交流となっている。

 今年の岩手競馬は震災の影響で開催日数などが大幅に縮小されており、全額が自己負担ではないにしても南部杯のJpnIとしての賞金を拠出することは不可能だったのだろう。もしJRA主催での開催とならなければ、ダービーグランプリに続いて南部杯まで休止になりかねない状況だった。

 岩手競馬の名物レースでもあり、日本の競馬全体で見ても、ダートJpnI・GI戦線の秋初戦として重要な位置づけとなっている南部杯が途切れずに行われることになったということは、どんな形であれ、ひとまず喜ばしい。

 ただそれがJRAの主催となってどうなるのか。また、来年以降はどうなるのか。そうした不安は尽きない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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