<7/4、5に掲載されたインタビューの続編です>
安田記念制覇の3日後、今度は南関の東京ダービーを牝馬のクラーベセクレタで勝利。羽田盃、東京ダービー、そして13日に迫ったジャパンダートダービーで三冠達成なるか。意気込みを伺います。
◆牝馬三冠の偉業へ
赤見 :クラーベセクレタで東京ダービー(11/6/8、大井ダ2000m)を勝利。これで東京ダービーは4勝目です(07年アンパサンド、08年ドリームスカイ、10年マカニビスティー、11年クラーベセクレタ)! ダービーと言えど、もう緊張なく騎乗できますか?
戸崎 :いやいや、今でもドキドキしながらです。ただ自分としては、ダービーも1つの重賞レースだと考えていて。でも、何か縁があるレースの1つじゃないかなとは思いますね。
赤見 :一番良いレースに縁がありますね。今年のクラーベセクレタでのダービーは、もちろん馬も強かったですけど、戸崎騎手ご自身も自信を持って乗られているなと感じました。
戸崎 :そうですね。羽田盃(11/5/11、大井ダ1800m)を勝ってから、この馬でのダービーは自分でもすごく意識してきたところでした。モチベーションを高く持とうとずっと思ってきましたね。
赤見 :羽田盃は本当に圧巻のレースでしたからね。メンバー中唯一の牝馬ながら、断然の1番人気に推されて、結果は7馬身差の圧勝。そのレースがあってのダービーでしたもんね。
戸崎 :そうですね。そういう中で、牝馬で勝ってくれて、改めてクラーベセクレタの強さを感じました。
赤見 :クラーベセクレタはホッカイドウ競馬でデビューして、2歳の暮れに大井に移籍しました。そこからずっと戸崎騎手が乗っていますが、5戦全勝。負けていないですね。
戸崎 :まあ、それだけの力のある馬ですから。誰が乗っても勝てるくらいの馬です。この馬もまた、素敵な馬ですね。
赤見 :フリオーソに続き素敵な馬。どの辺が素敵ですか?
戸崎 :もう本当に、言うことは聞いてくれますし、「レースで負ける気がしない」というのを感じさせてくれるんですよね。性格も申し分がないですし。初めて乗った時から、そういう感じでしたね。
赤見 :何か「さらにここが良くなるともっといいな」というところを挙げると?
戸崎 :それがないんですよ。
赤見 :3歳の女の子でないんですか!?
戸崎 :はい。そこがすごいですよね、この馬は。まあ、レースになるとちょっとテンションが上がってしまったり、ピリピリしたりというのはあると思います。そういう繊細なところはありながらも、ドンと構えているというのがありますね。
赤見 :馬体面はいかがですか?
戸崎 :もちろん、力をもっともっとつけてもらいたいというのはありますけど、そこは成長していくところですから。これから自然とついてくると思います。このままいってくれたら、すごい馬になるんじゃないかなって思いますね。
赤見 :女の子でそこまで信頼できるっていうのは、珍しいですよね。そんな完璧な女子に出会ったのは、奥様以来ですか(笑)?
戸崎 :ですね(笑)。「いたんだ!」っていう感じです。
赤見 :「ここにもいたか!」って。次走はいよいよジャパンダートダービー。中央勢を迎えての一戦で、南関東三冠もかかったレースですが、自信を持って臨めそうでしょうか?
戸崎 :そうですね。まだ対戦したことのない中央勢が来ますが、この馬の力を信じて、その辺は僕もドンと構えていきたいなと思いますね。
赤見 :楽しみにしています。それにしても、南関でのレースが平日5日間あって、それに加えて土日で中央競馬にも乗っていると、肉体的にも精神的にも大変ではないですか?
戸崎 :いや、幸せなことですね。逆にポッと1日暇ができちゃうと、何をしていいか分からなくてあたふたしちゃって、余計に疲れちゃうんですよね。何かこう、コンスタントに乗っていた方が、体もそれに慣れているというか、良いリズムではありますね。
赤見 :そうすると、今年は震災で競馬が開催できなかった期間がありましたから、その時は、被災地への思いと同時に、競馬への思いも募ったのではないですか?
戸崎 :そうですね。いつも当たり前にあった競馬に乗れないというのは、悲しかったです。競馬ができることのありがたみ、馬に乗ることができるありがたみを、改めて感じましたね。
赤見 :ケガ以外で1か月も競馬に乗らないことってないですもんね。しかも、いつから開催ができるとか、そういう先のことが見えなかったですし。
戸崎 :そう。だから余計にその期間が長く感じましたよね。その間に「何かしないといけない」「自分たちにできることは何だろうか」ということをみんなでいろいろ考えて。それで募金活動などをやらせていただきました。
赤見 :募金活動やチャリティーオークションなどもやっていらっしゃいましたよね。
戸崎 :そうですね。その時にファンの方が、暖かい言葉をたくさんかけてくださったんです。改めてファンの方のありがたみも感じました。そういうファンの方の支えやみんなの力があって開催できるようになったので、そこは本当にありがたく思いますね。またこれからも、被災地のために継続的に力になれればと思います。