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丸山元気騎手インタビュー前編

  • 2011年07月19日(火) 12時00分
「おじゃ馬します!」夏の特別企画。トップバッターは丸山元気騎手。デビュー2年目の昨年は92勝をあげ、全国リーディング7位と大躍進。今年の順位は現在12位(7月17日現在)。虎視眈眈と上位を狙います。

◆意識している2人

赤見 :丸山騎手には去年の夏にも、このコーナーに登場してもらいました。ちょうど福島、新潟リーディングを獲って、勢いに乗っているところでしたよね。結果、去年は全国リーディング7位に輝きましたが、今年の活躍はいかがですか?

丸山 :今年の活躍は、去年に比べたらというのはありますけど、でもやっぱり、トップ10には今年も入りたいですね。というか、入っておかなきゃだめだって思います。

赤見 :さらっと言いましたけど、それってものすごい目標です! 今のリーディングの順位(7月17日現在12位)はどうですか?

丸山 :その辺はみんな僅差ですから。しっかりがんばりたいです。

赤見 :やっぱり順位は意識しますか?

丸山 :だって、競馬雑誌を見たら載っていますもん(笑)。自分と前後している人が勝ったりすると、「また勝ってる」って思いますね。特に自分より順位が下の人が勝つと気になります。

赤見 :意識されるんですね。でも、今年は重賞制覇にGI騎乗に、活躍の幅をさらに広げています。デビューした時に、この未来は見えていましたか?

丸山 :いや。まさか減量が自分で取れると思わなかったです。よく取りましたよね(笑)。だって、初勝利が(09年)7月ですからね。そこからその年は8個勝てて。次の年も年明けにすぐ勝てたので、「キター!!」って思いました。

赤見 :ホント、キターですよ! また今は人気の馬に乗ることも多いですからね。

丸山 :僕が乗ると人気になっちゃいますからね、自慢じゃないですけど(笑)。人気になって欲しくない馬はいっぱいいるんですけど、なってしまうので。

赤見 :おおー。でも、たしかにそうかもしれない。そういうジョッキーになったっていうことですね。

丸山 :今だけです。いつ崩れるかは分からない…。

赤見 :そんなマイナス発言を(笑)。去年はちょうど通算100勝して終わったんですよね。その時のインタビューで、「来年は減量がなくなるのでダメです」って言っていたのに、そんなことを感じさせない活躍をされていると思いますが?

丸山 :んー、それだけ素質のある馬が集まってきているんです。そう考えると、もう少し結果を出さなくてはいけないんですけどね。そうしないと馬にも申し訳ないですし。

赤見 :減量がなくなると、どんなところが違いますか?

丸山 :馬のスピードが全然違います。スピードの乗りが違うので、二の足で一番響いてきますね。芝はそこまでではないですけど、ダートは減量のある方が勝てます。特に川須(栄彦)とか高倉(稜)は上手いので、勝たれちゃいますよね。前に2人がいると「無理かな…」って思ってしまう。

赤見 :2人のことを特に意識しているんですか?

丸山 :んー、僕としてはそんなに意識はしていないんですけど、周りからは「意識しているんじゃないか」ってよく言われるので…やっぱり、意識しているんでしょうね。

赤見 :減量によって、乗り方も変わってくるかと思います。去年に比べて、ハナに行く数が減りましたね。

丸山 :そうですね。去年は減量の分馬も楽だったのでハナに行っていたんですけど、今はハナに行っても次につながらない競馬が結構多いと思って。勝つだけ勝っても、という。それに逃げてばっかりだと、馬群もさばけないですし。少し、自分の成長も兼ねて。

赤見 :馬も人も次につながるように考えて。思い通りになっていますか?

丸山 :ローカルばっかり回っていますからね。中央場所に乗りに行った時は、やっぱり自分の未熟さを痛感させられます。何て言うんですかね、本当に間隔がなくて、ポジションを取りに行くにも難しい。いかに素早く良いポジションを取れるかがカギですね。

赤見 :相手が一流のジョッキーばっかりですし。

丸山 :はい。でも、そこでめげていても始まらないので、がんばろうかなと思います。

赤見 :そんな中、今年は重賞初制覇を果たしました。セイクリッドバレーでの新潟大賞典(11/5/8、新潟芝2000m)でしたね。

丸山 :はい。あの馬で勝てなかったら、僕は絶対重賞は勝てないって思っていましたから。調教では普通キャンターしか乗っていなかったので、強気なことは言えなかったんですけど、前走の大阪城Sでリスポリ騎手が乗って、馬が動くようになっていて。あとは自分がへぐらなければと思っていたら、上手く道が空いてくれたんです。

赤見 :重賞を勝った時のお気持ちはどうでした?

丸山 :その時は本当にうれしかったですけど、次の日に新聞を見て、「えっ、これだけ!?」って。「ウィリアムズ騎手が大きく載ってるよ」って。

赤見 :あっ、同じ日にNHKマイルCがあったから(笑)。

丸山 :そう。「GIとかぶっちゃだめでしょ」って(笑)、そういうのはありましたけど。でも、自分自身はあんまり変わらないですよ。

赤見 :自信には?

丸山 :ならないです、ならないです。ホッとするくらいで。

赤見 :強気なようで、意外と自信満々というわけではないんですね。

丸山 :デビューした頃は、特にそうでしたよ。その頃は自信がなかったです。積極的に乗れなかったっていうのが大きいのかな。周りからも「積極的に乗れ」って言われて、それで周りばっかり気にしていて。

赤見 :変わるきっかけになったことは何ですか?

丸山 :加藤和宏先生のおかげだと思っています。去年の年明けにたくさん乗せていただいて、そこでポンポンっと勝てたんです。加藤和宏厩舎の馬で逃げ切った時には、自信がどんどんついていきましたね。それが良かったのかなと思っています。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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