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高倉稜騎手インタビュー後編

  • 2011年08月09日(火) 12時00分
通算成績は現在64勝(8月8日現在)で、減量の取れる100勝まであと少し。若手騎手がまず立ち向かう「減量を取る」目標ですが、そこにもライバル同士の戦いが。メラメラ燃える高倉騎手の意気込みを伺います。

◆今は勢いが違うけど

:川須(栄彦)君とのエピソードがとても面白いですが、川須君のことを一番知っているのはやっぱり高倉君かなと思います。ライバルとして、悔しいながらも「すごいな」って認めるところはありますか?

高倉 :やっぱり、あの勝ち星はすごいですよね。リーディングも上位にいますし(8月8日現在、関西リーディング4位)、そこはやっぱりすごいと思っています。

:そうですよね。今年一気に上がってきましたもんね。

高倉 :そうなんです。1年目はそこまで目立っていなかったのに、2年目でこうやって急に勝つというのは、すごいと思います。

:川須君を近くで見ていて、変わったきっかけっていうのは何か感じていますか?

高倉 :やっぱり勝つ度に、落ち着いて乗れるようになってきたんじゃないかなとは思います。1年目は、結構あいつも怒られていたので。その辺も、何か変わったきっかけなのかもしれないですね。

:川須君も負けず嫌いですか?

高倉 :はい。すごいですよ。

:じゃあお互いに負けず嫌いで、競馬の話をすると熱くなるんじゃないですか? 競馬の話はよくしますか?

高倉 :結構します。まあ、競馬の話でケンカはしたことないですけど、この前の重賞の話もしましたし、自分たちの乗っていない競馬についても話したりします。「あの馬はああだった」とか、本当にいろいろ話しますね。

:川須君に自分の悩みを打ち明けたりもするんですか?

高倉 :悩みも話します。落ち込んだ時とか、ちょっと軽い感じで話したりはしますね。

:「怒られちゃったよ」みたいな?

高倉 :そうですね。まあ、アドバイスをもらうっていうことでもないんですけど、自分の中でこもっているより吐き出した方がいいですし。話を聞いてもらえるというのが大きいです。

:ただのお友達じゃなく、良きライバルであり、良き理解者であり、ですよね。かけがえのない存在ですか?

高倉 :んー、そうでもないですけどね(笑)。

:そうでもない(笑)? ひとつ違うのが、川須君は去年の暮れにフリーになって、高倉君は厩舎に所属(崎山博樹厩舎)しています。今、フリーのジョッキーが多いですけど、厩舎に所属していることのメリットはどう感じていますか?

高倉 :やっぱりうちの先生はたくさん乗せてくださるので。厩舎の馬はほとんど乗せてもらっていますから、それはありがたいですよね。

:勝った時も、自厩舎の馬で勝つと喜びも?

高倉 :大きいです。他の厩舎で勝った時ももちろんうれしいですけど、自厩舎だと、何ですかね、親孝行という感じです。先生に恩返しって言ったらあれですけど、お礼が出来ているかなという感じがあります。

:厩務員さんたちも家族のように「良かった、良かった」って言ってくれますよね。そういううれしさはありますよね。じゃあ、もうしばらく厩舎に所属して?

高倉 :そうですね。先生から「フリーになれ」って言われるまでは、自分では言わないです。

:夏競馬、そして秋競馬と今年の競馬はまだまだ続きますが、高倉騎手のどんなところに注目していきましょうか?

高倉 :今持っている目標としては、重賞を勝つことです。

:重賞にはこれまで4度騎乗して、この前のマーメイドSで3着まできていますから、もう少しっていう感じですか?

高倉 :はい。重賞を勝って、周りの先生方にももっとアピールしていきたいです。減量が取れた後も変わらずに騎乗依頼をいただけるように。その減量も、やっぱり早い時点で取りたいですけどね。

:減量は今年中に取れそうですか?

高倉 :そうですね、取りたいですね。後半で勝ち星がどれだけ伸びるか。

:今年がもう27勝(8月8日現在)しているんですね。早いですよね。川須君が、今年はもっと勝っているのか?

高倉 :そうなんです。川須が40勝以上(8月8日現在51勝)していますからね。だから、通算の勝ち星がほとんど一緒です。

:あっ、そうか、トータルが一緒なんですね。同期ですごいレベルの高い戦いですよね。やっぱり、そういう相手がいるからこそっていうのはありますか?


高倉 :そうですね。気持ち的に違うと思います。やっぱり「川須には勝ちたい」と思いますから。でも、今はちょっと勢いが違うので、僕ももっとがんばらないといけないです。

:小倉に参戦するこの夏も、勝負になりますね。高倉君が熊本出身で、川須君が福岡の出身。お互い地元に近い競馬場ですもんね。得意な小倉1700ダート、注目しています。

高倉 :はい、がんばります。

:ちなみに今年の小倉で乗る注目馬っていますか?

高倉 :重賞の北九州記念(8月14日)に、トウカイミステリー(安田隆行厩舎)で出ると思いますので、それが楽しみです。前走は新潟の1000mで忙しい競馬でした。だから、1200mなら面白いかもしれないです。

:そうなんですね。楽しみにしています。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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