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田中清隆調教師「即答!10の質問」

  • 2011年09月12日(月) 12時00分
阪神JF2着、桜花賞2着、オークス3着。世代トップクラスながら、念願のタイトルにはあと一歩のホエールキャプチャ。秋華賞こそは何としても! 管理する田中清隆調教師に、春クラシックの振り返りと秋への意気込みを伺います。



◆田中清隆調教師
1951年12月16日生まれ、千葉県出身。美浦所属の調教師。名門・野平省三厩舎で騎手候補生になり、75年に騎手免許取得。同氏の死去により、息子である野平祐二厩舎からデビュー。76年、ホッカイノーブル騎乗のステイヤーズSで重賞制覇。通算成績は1618戦140勝。

90年に厩舎開業。96年、ホッカイルソーでの日経賞で厩舎重賞初勝利。その後も、フェブラリーSを97年(シンコウウインディ)98年(グルメフロンティア)で連覇、01年のオークスをレディパステルで勝利するなど、重賞、GI勝利を重ねている。





◆「即答!10の質問」
ファンの皆様の質問にお答え!

Q1.ホエールキャプチャは、いつも真面目に走ってくれる馬ですね。だからこそこの馬がGIを獲れないなんてことはあってほしくないです。この夏は順調に過ごせましたか?

 そうですね。オークスの後、すぐ生まれ故郷の千代田牧場に放牧に出しました。それで順調に回復しまして、その後に函館競馬場に入厩しました。

 ただその時ね、歯がちょっと緩んでいたんですね。どうも飼い食いが2日ばかり悪くて「おかしいな」と思ったら、生え代わりの時期で。

 そのうちに歯が取れたものですから、それから飼い食いは戻ったんですけど、それで1週間ぐらいブランクというか、少し痩せたんですよね。心配したんですけど、歯が取れてからは徐々に戻り始めて、今はもう普通に戻っています。

Q2.ホエールキャプチャの厩務員さんはベテランの方だそうですね。どんな方なんですか?

 私が開業した時に引き継いだ厩舎から一緒に来てくれた厩務員です。本当に仕事は真面目で。というか、馬が大好きなんですね。青森県の出身で自分の家にもいたらしくて。だから馬のことは良く分かっています。

Q3.池添謙一騎手がこの秋、ホエールキャプチャとアヴェンチュラどちらに乗るかで憶測が飛んでいます。それで気になったのですが、騎手への騎乗依頼はどうやって行われているのですか?

 こういうクラシックとかGIを狙う馬というのは、なるべく同じジョッキーに乗って欲しいものですからね。春のオークスが終わった時点で、秋は秋華賞までお願いしてあったんですよ。

 アヴェンチュラが復帰して勝ち進んでいるんですけど、私たちが先着というか先に声を掛けたものですから、秋華賞までは乗ってくれるという返事をいただきました。

Q4.ホエールキャプチャのファンです。芦毛の馬ってかわいいですよね。逆に、芦毛だからこそ大変なことや気をつけることってありますか? どんな毛色の馬が好きとかありますか?

 好きな毛色はないです。走るのが好きです(笑)。毛色が違うからって、別に問題はないんですよ。ただ、汚れが目立つくらいなもので。

 まあ確かに、芦毛は毛つやが判断し辛いというのはありますけどね。あまり良くは見せないですから。それでも、それなりにつやはあるんですよ。良く見ると分かりますね。

Q5.ホエールキャプチャはクロフネ産駒ということで、どうしても気になるダートの可能性。武蔵野S、ジャパンCダート…今後、可能性はありますか?

 クラシックに乗ったものですからどうしてもそちらに進んだわけなんですけど、そうでなかったらおそらく、ダートを何回か使ったと思うんです。ダートは、私も間違いなく走ると思うんですよ。そのうち目を向けてみたいなとは思っております。

Q6.GIは究極の仕上げが必要と聞きますが、「完璧に仕上がった!」と、ピンっとくる瞬間があるのですか?

 やはりありますね。まず体調が良いか悪いか。調教が思い通りに出来たかどうか。そうすると、総合的に馬の雰囲気も良くなります。変にイライラしていなくて、かえって落ち着きますし。

 調子の判断は案外、追い切りの次の日が分かりますね。次の日というのは、お腹もすっきりしますし、コズミとかスクミがなくスムーズに動いて、追い切り前より身軽になったなという感じがします。

Q7.私の思い出の馬はレディパステルです。あのオークスが初めて馬券を当てたGIです。何かレディパステルとの思い出を教えてください。

 そうですね。あまり馬っぷりの良い馬じゃなかったんですよ。肩を開いて歩いてあまり良い歩様じゃなかったですし、気性もきつかったですから。

 だからGIが勝てるようには思えなかったんですけれども(笑)、競馬に行って良いところがあるということで、とんとんっとオークスを勝ったんですけどね。

 初めてクラシックを獲らせてもらった馬なので、すごく思い入れがあります。あと、オーナーの関係もね。公私にわたってお付き合いのあった馬主さんなので、みんなで喜びました。

Q8.調教師さんは、競馬の情報をどうやって仕入れていらっしゃいますか?

 ははは(笑)。まあ、毎週競馬場に行っていますのでね。競馬場で相手馬の状況を見たり、あとは雑誌とかね。まあ、相手のことを考えても自分の競馬ができなければどうしようもないので、まずは自分の馬のことですよね。

 調教師同士で話をすることですか? そうですね、ハナに行く2頭がいたら「どうする?」とか、そういうことはたまにあります。「内だから行きたいんだけど」って言って、向こうも「行きたい」と言えば、それはゲートを出てみなければ分からないです。

 そうしたらジョッキーに、「行けたら行ってくれ」とか「相手が速かったら控えてくれとか」そういうことは言いますけれども、作戦云々というのは、調教師同士はあまり言いません。

Q9. 私はクラブ馬主の会員です。一頭の馬をよく見ていくと、順調にいくことがどんなに大変か身にしみます。やはり、何もない馬の方が珍しいのでしょうか?

 そうですね。全然苦労しないで競馬を使えるという馬は、10頭に1頭くらいじゃないですかね。デビューできない馬もいますし、デビューにこぎつけても次の2戦目というのがなかなか。

 だから、1つ勝つのもね。勝つ時は簡単に勝つんですけど、勝てないとなったら…本当に。今の未勝利も、2着3着というのはいくらでもいるんですけれど、結局は未勝利で終わっちゃう馬もいますからね。

Q10. 新馬戦真っ盛りのこの時期が好きです。どういうレースだと「この馬は先があるな」と思いますか?

 負けても、仕上がり状態がどの程度だったのか。7分くらいで負けたら次は良いんだろうと。あとは、馬が太くてこれくらい走れたからもう一絞りできるはずだとか、いろいろな要素があります。

 ただ、どんなレースにしろ、走る馬というのはどこかで脚を使ってくれるんです。うちの厩舎にセイクレットレーヴという馬がいるのですが、オーナーがホエールキャプチャと一緒なんですよ。それが、初戦で馬場に出た時に暴走してしまって。

 そういうものだから競馬でもビシっとは乗ってこられなくて、5着だったんですよ。だけど「この馬は良いところがあるな」と思いまして。それで中1週で未勝利戦を使ったら勝ってくれたんですけどね。やっぱりどこかで見どころがあればね。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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