前走、11月3日のファンタジーSではおそらく中1週の連続した疲れがあったのだろう。期待したほどの迫力もなく、勝ち時計も1400m1分22秒2。ややAランクというには物足りないレースをみせてしまったピースオブワールドだが、その疲れもとれ、今回のピースオブワールドが(2戦目のかえで賞で示した通りに)、本物の姿だろう。
一度先団から下げ、中団でもまれている。そこから大事を取って外に出し、4コーナー手前からスパート。直線に入ると福永祐一騎手は2度もムチを左右に持ちかえたが、これはヨレるのを矯正したのではなく、ピースオブワールドは一直線に伸びている。苦しくないから内にもささらなかった。
余力をもって勝ち時計は1分34秒7。十分に桜花賞の時計に達しているだけでなく、これは96年のメジロドーベル、同じく00年のテイエムオーシャンの残した1分34秒6のレースレコードとわずか0.1秒差。そのあとメジロドーベルやテイエムオーシャンがどういう過程をたどり、どういう成績を残しているかを考えると、ピースオブワールドの来季はきわめて明るい。
タイキシャトルとほとんど似た血統背景(血量)をもつ、いとこ。落ち着いた気性で距離はこなせそうだが、タイキシャトルと同様にベストはマイル戦だろう。そのタイキシャトル、マイルはG1・4つを含み6戦6勝だったという記録がある。
流れは前半46.8−後半47.9秒。速くはない平均ペースとして良く、2着ヤマカツリリーは(少しかかってはいたが)、これはもう安勝の腕以外なにものでもない。阪神ジュベナイルFの歴史は、人気の中心で、それに応えて好走した馬だけが3歳以降も活躍することを示し、ここで平凡な内容に負けた馬には、未練を持ってはいけない。こんなはずではないの発想は危険であることを伝えている。トーナメントで敗れたのだ。リーグ戦ではない。