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菅原勲騎手インタビュー後編

  • 2011年10月06日(木) 12時00分
今年の南部杯、岩手からは昨年の岩手ダービー馬ロックハンドスターが挑戦します。3歳時は圧倒的強さを誇った同馬。今年に入ってちょっと勝ち星から遠ざかっていますが…どうなるか。菅原騎手の思いは…。

◆ファンの皆様へ、すみません

赤見 :今年、岩手代表として南部杯に出走を予定しているロックハンドスターですが、今年に入ってからはちょっと勝利から遠ざかっています。11戦8勝で岩手ダービーを制し、ジャパンダートダービー、黒潮盃で南関東にも遠征しましたが。

菅原 :いやあ、ちょっと挫折してしまった感じはあるね。やっぱり1回体調を崩すとなかなか立ち直れない部分がありますよね。

赤見 :以前から繊細で、なかなか身体が増えてこないところも。

菅原 :ちょっとね、もともと弱い馬だったので。それでもだいぶ成長してきたんだけど、やっぱり一線級というか強い馬と戦うと、どうしてもやっぱり弱いところがあるんだよね。その分疲れが残ってしまったという感じだね。

赤見 :そうすると、今年は?

菅原 :いや、俺行かないの。南部杯、行かないんだよね。

赤見 :えええっ、そうなんですか!? ロックハンドスター、誰が騎乗するんですか?

菅原 :菅原俊吏騎手。

赤見 :そうなんですか。驚きの新情報です。だって、まさか…。

菅原 :まずかったかね。盛り上げ的には、行かなきゃだめだったのかな(苦笑)?

赤見 :はい(笑)。

菅原 :すみません! って、ここで謝っておきます。行きたかったんですけど、その日は盛岡でも重賞競走があって、そっちにも乗る馬がいるんだよね。それで、南部杯には行かないことになって。

赤見 :ああ、そうなんですか。ええー、でも、菅原騎手がいないというのは…東京のファンの皆さんもさみしいと思います。でも「菅原」って同じ苗字だから、みんな一瞬「菅原さんだ!」と思っちゃいますね。

菅原 :そうだね(笑)。勝負服も貸服だと思うので、だから分からなくていいでしょ(笑)。同じ「菅原」だから分からないでしょ。「あれ、こんな顔していたかな?」とかね(笑)。

赤見 :あれ? って(笑)。本当に、今年の南部杯は騎乗されないというのは、ちょっとさみしいですけれども。

菅原 :ファンの方たちには申し訳ないんです。メイセイオペラとかトーホウエンペラーとか、そうやって盛り上げてもらっているのにね。ただ、そういうところには俺らが行くより、若い人にチャンスがあってもいいよね。若い人が出ていかないと。そこで得るものもあると思うしね。だから俺は、地元で盛り上げます。

赤見 :そうですね。菅原騎手が盛岡で乗ったら、それでまた注目度が高まって。盛岡の馬券も東京競馬場で買えますからね。そこで盛り上げてください! でもたしかに、菅原俊吏騎手は売出し中ですからね。こういう大きな舞台で乗れるというのはねチャンスですね。

菅原 :ですね。南部杯は、やっぱり岩手では一番グレードの高いレースなので。ここを目標にみんな仕上げていくというレースだと思うのでね。

赤見 :そうですね。またメイセイオペラのような、“地方と中央の対決”という勝負が見たいです。

菅原 :そうだよね。やっぱりそういう馬を地元から出して盛り上げないと、競馬って盛り上がらないと思うんだよね。ファンの方たちも、それを望んでいると思うんだよ。だからぜひね、そういう馬をもう一度出して勝負したいよね。

赤見 :でも、本当に菅原騎手は、今年の岩手ダービーでも思ったんですけど、次につながるようにすごく考えてレースに乗っていらっしゃるじゃないですか。「全国に行くためには、このままじゃだめなんだ」みたいな。その視野の広さがすごいなと思っています。

菅原 :それはやっぱり、良い馬に乗せてもらっていて。最終的には地元だけじゃなくてね、全国に行って通用する馬に、乗り役だけじゃなくてみんなで育てていかないと。調教師さんとか厩務員さんとか、みんなが同じ思いで育てないと、たぶんそういう馬には育たないと思うんだよね。ただ勝つだけじゃなくて、レースを教えながら育てていきたいというのは、ずっと思っているので。

赤見 :実際にメイセイオペラとか、名馬をたくさん育ててこられたわけですから、そういう結果も蓄積されますよね。

菅原 :何回かそういう馬に乗って、どうやれば育っていくのか、それを経験しているので、それを上手く次の馬に教えられればいいなと思って乗っているよ。

赤見 :また活躍するような馬をどんどん送り出してください。

菅原 :そうだね。メイセイオペラとかトウケイニセイとか、全国にどんどんどんどん名前を売っていけるような馬を岩手から出して、それに乗っていきたいよね。

赤見 :繰り返しになりますが、メイセイオペラがフェブラリーSを勝った時は、高崎競馬場で本当に号泣しましたから!

菅原 :ふふ(笑)。あの時は本当にね、全国で盛り上がったし、地方競馬の人たちもみんな応援してくれたしね。特に岩手は、地元の人たちが結構熱く応援してくれたので、すごくうれしかったよね。

赤見 :やっぱり競馬で勝つって、それだけの力を持っているんですね。

菅原 :持っているということだよね。あれだけ盛り上がれるんだから。あれを何回もとは言わないけど、またそういうものがないとね。今年は災害があったので、やっぱりそれを少しでも勇気づけるには、岩手から全国にそういう馬を出して、良いレースをすること。それが自分らの役割というか、そういうことだと思うので。

赤見 :またそういう馬が出ると、地元岩手もそうですし、東北も盛り上がりますよね。菅原騎手、これからも岩手、東北を引っ張る存在として。

菅原 :はい。がんばっていきたいです。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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