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ウインバリアシオン・竹邑行生厩務員「即答!10の質問」

  • 2011年10月17日(月) 12時00分
史上7頭目の三冠制覇を狙うオルフェーヴル、そこに待ったを掛けるライバルたち。その筆頭がウインバリアシオンです。担当の竹邑行生厩務員は名門・瀬戸口勉厩舎でラインクラフトを手掛けた腕利き。ラスト一冠、譲れない戦いに迫ります。



◆竹邑行生
1959年4月27日生まれ、滋賀県出身。栗東・松永昌博厩舎所属の厩務員。

父親が厩務員だったことから、中学を卒業後に自身も競馬の世界へ。栗東・上田武司厩舎の所属となり、その後名門の栗東・瀬戸口勉厩舎へ。同厩舎ではラインクラフト(05年桜花賞、NHKマイルC)、オグリローマン(94年桜花賞)などのGI馬を育てた。

瀬戸口厩舎の解散により、現在の松永昌博厩舎へ移籍。マルカフェニックス(08年阪神C、10年スワンS)を担当し、厩舎初重賞の立役者となった。今年、担当馬のウインバリアシオンで、自身初の牡馬クラシック制覇を狙う。





◆「即答!10の質問」
ファンの皆様の質問にお答え!

Q1.神戸新聞杯ではウインバリアシオンはオルフェーヴルに負けてしまいましたが、菊花賞は逆転可能!! と思っています。前哨戦を終えて、陣営の中の雰囲気はいかがですか?

そうですね、特別変わりはないです。あのレースは完敗というふうに思います。先生もそうおっしゃっておられましたので。でも、菊花賞ではどうにかしてくれるんじゃないかなと。安藤(勝己)さんのコメントにもありましたからね。そのために無事に出走させるのが僕らの仕事。何とかがんばりたいなと思います。

Q2.注目していた神戸新聞杯。オルフェーヴルはいつもより前の位置取りでしたが、ウインバリアシオン陣営の方はあのレースの位置取りなど、どう思われましたか?

頭数も少なかったから、前にオルフェーヴルがいて、それをマークできるような態勢やったと思うんです。安藤さんの判断やと思います。僕らも、「オルフェマークなんやな」という感じで見ていました。

Q3.ウインバリアシオンのお父さんハーツクライはディープインパクトに勝った奇跡を見せた馬。ウインバリアシオンにも同じような奇跡を見せてもらいたいなと思います。お父さんに似ているなと感じるところはありますか?

普段のハーツクライは、僕はあんまり存じ上げないんですけど、中山助手が橋口(弘次郎)厩舎のハーツクライに乗っていた調教助手の方に聞いたら、似ている面は何か所かあるらしいんですわ。

この馬はもともと肩の出が悪いところがありまして、そういうようなのはハーツクライもあったらしいんです。やっぱり似ているところはあるみたいですよ。

Q4.菊花賞でウインバリアシオンにがんばってもらいたいです。安藤勝己騎手とは何か策について話し合っていますか?

いや、全然話し合っておりません。僕らは競馬に出すと、あとはもうジョッキーですからね。先生とは装鞍所とかパドックでしているのかもしれませんけど、僕は全然。ただ雑談しながらです(笑)。

よう知っている乗り役さんやったら、何やかんやしゃべりますしね。神戸新聞杯の時、パドックに酔ったファンの方がおられましてね。「アンカツ!」って叫びはったんですよ。で、「お前、同級生やぞ」って言うて。「いや〜、あんな酔った同級生は嫌やな(笑)」って、馬場入場までその話でもちきりでした。

Q5.大きいレースに望む時のプレッシャーは計り知れないですが、プレッシャーをはねのけるために心掛けていることはありますか?

あっ、僕ですか? プレッシャーがかかるのは、もう当然でしょう。まして男馬のクラシックというのは、僕は初めてなんですよ。牝馬ではラインクラフト、オグリローマンで勝たせていただいたんですけど、男馬はないんです。でもそれだけにウインバリアシオンが今、いろんなことを教えてくれているんだなという感じなんです。

Q6.パドックでは周回していく馬の変化を見たらいいと聞きますが、具体的などんなところをチェックしていたらいいんですか?

やっぱりイレ込み度ですね。普段おとなしく歩いている馬がちょっとイライラしているとか。あとは仕草ですね。ハミを取ってぐっと歩く馬もいるし、だら〜っと歩いているような馬はちょっとというのもありますし。馬券対策になるかって言ったら分からないですけど、僕がいつも気にしているのはそういうところですね。

Q7.馬の気持ちは何%ぐらい分かりますか?

うわっ、これは難しいですね。仕草的なことを僕らはいつも観察していますから、「何かして欲しいな」「これは嫌なんだな」というのは分かりますけど、何%分かるとか、そこまでは何とも言えませんね。申し訳ない。この質問をされたファンの方にごめんなさいって言っておいてください!

Q8.馬って本当にかわいいですよね。過去にご担当された馬のかわいいエピソードを教えてください。

やっぱり女の子の担当が多かったもので。一番の思い出は、ラインクラフトですね。

ラインクラフトは本当におとなしい、本当のお嬢さんでしたね。ひなたぼっこをさせましょうって、厩から出すんですよ。太陽が当たって気持ちいいんでしょうね。周りが何しようがじーっと立ったままなんです。ボーっとして今にも寝そうな感じでうとうとって。

それが15分も20分もやりよるんですよ。ご飯食べなあかんから「おい、早う帰ろう」って言っても、じーっと立ったままなんです。

競馬ではしっかり走って、厩舎に帰って来たらそういう仕草ですので。これはもう私は、“惚れてまうやろ〜っ!”っていう感じですよね(笑)。

Q9.馬の心を開く一番の方法はなんですか?

それも難しい質問なの違いません(苦笑)? まあ、優しく接すること。怒る時は怒りますし、優しくする時は優しく接していたら、馬も言うことを聞いてくれますし。

ちょっとやそっとではできませんけど、長く付き合っていくと今までできんかったことをしてくれるということもありますから。そういうふうにしたらコミュニケーションが取れるん違うかな、という感じですね。

Q10.生きものに携わるお仕事はやりがいと難しさがあると思います。ご自身の中で大事にしているポリシーは何ですか?

こうやって厩舎に入厩して来る以上は、やっぱり競馬が第一ですので。かわいがるだけなら誰でもできると思いますけど、やっぱり攻めるところは攻めなきゃあきませんし。そういう差をしっかりとやるのが僕らの仕事じゃないかな、というのが第一ですね。

競馬をしなかったら馬主さんにも悪いですし、こういうふうにGIに出るような馬やったら、ファンの方もいっぱいおられますので。まず出走というのが大事。それが私の仕事ですね。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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