中山2500mのペース判断やスパートのタイミングはケタ違いに難しいことで知られる。
だから、同じようなレベルの馬が戦っても2分30秒台になったり(今年のアルゼンチン共和国杯でさえ2分30秒6)、3年前のグラスワンダーの有馬記念のように、2分37秒台のレースになったりする。
今年は逃げ馬がいなかった。伏兵タップダンスシチー陣営が行くかもしれないの宣言通り、一度ハナに立ったが、当然スロー。ならば変にタメるより気分良くという形で、武豊騎手の12番ファインモーションがスタンド前から先頭。1000m通過は62秒0だった。昨年、トゥザヴィクトリーの超スローの逃げが1000m通過62秒6。ほとんど変わらない。
これでは強気に出るはずのタップダンスシチーも立場がない。向正面に入ってハナを奪い返したときの1600m通過が1分39秒2。十分にスローであり、だから、ふつうのスローペースで逃げたタップダンスシチーは上がりを自身47.7−35.9秒でまとめ、ごく標準の時計2分32秒7で乗り切った。快走でもなんでもない。
ファインモーションは3歳牝馬。気分良く行きたい。結果論だが、あのスローの向正面、また2番手に下げたのは失敗だろう。とたんに走法のリズムを崩し、首が高くなった。
他馬は離れている。離れて超スローで追走の形になった時点で、中山2500mのパターン通り、他馬は自分で自分の首を締めた。ラップの上がる3角手前からロングスパートをかけないと出走していた意味さえなくなる。当然、みんな動いた。だが、あそこから動いてはゴールまで保たない。伸びない。流れに乗った2番コイントスが3着。ペリエ騎手の1番シンボリクリスエスは一緒に動いているようでいて、ムリなスパートはかけていない。そこがペリエ騎手なわけで、ほとんどの馬は、スローの流れを読めず、先行の8番タップ、12番ファインと向正面までに離された時点で、もう好走の望みがなかった。凡戦だった気がする。