2歳戦線ではクラレントが、マイル路線ではリディルがスタンバイし、秋後半はビッグチャンスが続く小牧騎手。また、クラレントが出走予定の東京スポーツ杯2歳Sは、2年前、ローズキングダムの能力の高さを確信したレースだそうです。そんな思い出のレースを振り返りながら、この秋の手応えに迫ります。
■東スポ杯を勝てば…目指すはダービーのみ!
──今回も、ユーザーからの質問をまず紹介させていただきたいのですが、『小牧騎手ご自身にとって、会心のレースを教えてください』とのことです。
小牧 そうだなぁ。けっこうね、ここ一番では、いいレースをしてると思うんですけどね(笑)。
──それはもちろんです。たくさん勝ってらっしゃいますから、これ!と絞るのは難しいかもしれませんね。
小牧 ん〜、GI2つは、やっぱり自分のなかでも会心やね。あとはローズキングダムの東京スポーツ杯2歳S(以下、東スポ杯)かな。まだ新馬しか使ってなかったから“いきなり重賞を勝てるんかな”と、半信半疑で挑んだレースでしたね。やっぱり新馬だけじゃわからないから。
──そうはいっても、東スポ杯は1番人気で。なにしろ、新馬戦で見せた脚が強烈でしたからね(33秒9)。今思えば、僅差の2着はヴィクトワールピサで、3着以下を5馬身突き放しました。
小牧 そうだったね。たしかに、新馬もかなり強かったんだけど、当時はいきなり重賞で勝ち負けできるような素材の馬に、あまり乗ったことがなかったから。だから1番人気とはいえ、ほんとに勝てるんかなぁって感じでね。でも、終わってみれば、新馬、オープンと2連勝してたトーセンファントムとの競り合いを制したわけだからね。
──これは! と思ったわけですね。
小牧 うん、そうやね。東スポ杯の勝ちっぷりがあったから、次の朝日杯はGIなのに、自信満々で乗りましたからね。中央のGIで、あそこまで自信を持って乗れる馬って、なかなかいないと思うんでね。
──東スポ杯の時点では、先日のデイリー杯2歳Sのクラレント同様に、能力を計りかねているところがあったということですか?
小牧 そうです。走るのはわかってたけどね。馬もこじんまりしたタイプやし。
──クラレントはすでに、デイリー杯2歳Sを勝って能力を証明したわけですが、東スポ杯次第では、ますます楽しみになりますね。
小牧 そうやね。道中ムキにならないから、距離が延びるのも大丈夫やろうし、東京コースもいいと思う。東スポ杯を勝ったらねぇ、もう目指すはダービーでしょう。今度は騎乗停止にならんようにせんとね(笑)。
──この秋は、楽しみなレースが続きますね。マイルCSでは、リディルとシルポートがライバルになる可能性も。
小牧 リディルに関してはスワンS次第やけど(1番人気に応えて快勝!)、マイルCSに出られるとなれば、リディルで頑張ろうかなと思ってます。
──マイルCSにはどんなイメージを持っていらっしゃいますか? これまでに、04年のマイネルソロモン(4着)、05年のキネティクス(9着)、06年のステキシンスケクン(14着)と、3度騎乗されてますよね。
小牧 正直、あんまりいいイメージはないなぁ(笑)。ただ、リディルは十分チャンスがある馬だと思ってます。スワンSでいいレースができれば、本番もいい競馬ができるはずだと思いますよ。
【そのほか質問コーナー】
──安藤勝己騎手は、小牧騎手にとってどういう存在ですか?
小牧 それはもう、大先輩ですよ。そういえば昔、まだ安藤さんが笠松に所属されていたころ、飲みに連れ回されたことがありますよ(笑)。たしか名古屋で、トーホウエンペラーが重賞を勝った日やね。そのあと、笠松まで連れて行かれて(笑)。僕がまだ20代のころかなぁ。でも、昔からいい方ですよ。
【次回の太論は…】
逃げ馬での活躍もさることながら、豪快な追い込みにも定評がある小牧騎手。その筆頭といえば、やはりレジネッタでの桜花賞制覇です。次回は、“中央・小牧太”の騎手人生を変えた、GI初制覇を回顧します。