発売から半年が経った赤本を、いまいちど読み直してみた。
とりあえず、走らないという都市伝説がある「カラーパドックの1ページ目」はダノンムーン、ジョワドヴィーヴルともに勝ち上がったのでご報告しておく。あとこれは以前にも書いたかもしれないが、カラーパドックの並び順は私ではなく同ページ編集者が血統価値重視で決めているので念のため。
自分のおすすめベスト10については、全くダメそうという馬はいない一方で、現時点でのオープン・重賞級もいないという微妙な状況。ワールドエース(母マンデラ)がやっと入厩、赤本刊行後・ドラフト直前に牧場情報から人気沸騰していたダノンドリーム(母オールザウェイベイビー)が年内入厩するかどうかと、出遅れているのも痛い。この2頭に限らず、今年はノーザンファームの「大駒」で進行が遅れている馬が多いような印象もある。それがたまたまなのか、なにか共通の原因があるのか、その辺りは来年取材しておきたい。
ノーザンファームといえば、ポジティヴな部分として強調しておきたいのがディープブリランテの活躍だ。産地馬体検査会場での評判も良かったのに、赤本メンバーは全員お見合いした格好で取りこぼし。これは素直に反省するとともに、来年の捲土重来を期したい。
この馬からピックアップできるテーマは、「ノーザンファームが買った馬」だ。POG期間内の活躍馬ではないが、ジャガーメイルなどもノーザンファームのセール購買馬。バイヤーとしてのノーザンファームというのは、面白いテーマになりそうだ。
実際には色々と事情がある馬や、購買にノーザンファームが関わっていても馬主さんの名義になっている(データ上対象馬となってこない)馬などもいるが、とりあえずノーザン系クラブと吉田和美氏名義の馬だけを対象にしても、興味深い考察ができるだろう。
ところで、もうひとつ自分の反省点を書いておくとすると、「面白い穴馬をピックアップできなかった」ということになる。
これも故障に泣かされた面はある。JRAプリーズアップセールでイチオシにしたダンツミュータントはデビュー直前に骨折して、11月にやっと帰厩。エボニーナイト(母メインスルー)はかなり自信のあった馬で新馬戦もディープブリランテの2着だったのだが、2走目のあと歩様が良くなかったそうで、帰ってくるのは年明けになりそう。ひとつは勝てるような気がするが、長打までは難しくなってきた。
そんなわけで、私個人としてはあまり胸を張れない今年の赤本だが、自分で自分を褒めてあげたいのは、関東注目厩舎インタビューに尾関厩舎を取り上げていたことだ。
関東の厩舎は経営が大変な時期になりつつあるが、巻き返しがあるとすれば若手の頑張りしかきっかけはない。その担い手をいち早くピックアップしようというのがインタビュー厩舎の選択なわけであって、取り上げてすぐに重賞を、それも2歳重賞を勝ってくれたというのは本当に嬉しいことだ。来年の赤本でも、頑張っている厩舎、頑張っている牧場にスポットライトを当てていきたい。