先週の競馬でターフデライトが新馬を勝ったり、ラシンティランテが白菊賞を勝ったりするのを見ていて、改めてアグネスタキオンという種牡馬のすごさを再認識した。
ご存じのように、アグネスタキオンは2009年の種付けシーズン途中で死亡。150頭弱いる今年の1歳世代、つまり来年のドラフトにかかる世代が最終世代となる。
サンデーサイレンスという規格外な父と比べられるためにアグネスタキオンの長所は十分に評価されず、むしろ近年では重賞級の産駒が故障しやすいといった形でリスク面を言われることが多かったが、他の種牡馬と比べたらやはりアグネスタキオンのパフォーマンスはかなり高いし、特にPOGに向く。
2歳戦の産駒成績をまとめると、以下のようになる(2011年は11月末現在)。
年度 勝率 連対率 複勝率 1走あたり賞金
2011年 17.6% 31.9% 45.4% 213万円
2010年 15.8% 29.3% 39.1% 231万円
2009年 16.0% 25.6% 40.0% 203万円
2008年 15.0% 24.8% 42.9% 216万円
2007年 15.4% 33.6% 47.0% 220万円
2006年 19.6% 37.3% 47.7% 247万円
2005年 17.3% 30.1% 40.4% 214万円
勝率・連対率・複勝率はクラスを無視した雑な指標だが、それでも世代ごとのムラがなく安定している。また、産駒の走りっぷりをおおまかに把握できる1走あたり賞金は、さらに安定していると言ってよい。
他の主力種牡馬でいうと、例えばキングカメハメハでも2歳戦の1走あたり賞金が200万円台に乗ったことはないし、フジキセキでもタキオン産駒が登場した2005年以降は一度だけ(2007年に223万円)、トータル14世代でも2回しかない。サクラバクシンオーも14世代で2回だけだ。
ディープインパクト産駒は昨年も今年も200万円を超えているが、ドラフト人気の差を考えると、アグネスタキオン産駒の魅力は高い。
さらにアグネスタキオン産駒の良いところとして、いざとなったらダートもそこそここなすという、つぶしの効く面が挙げられる。
タキオン産駒というと芝のイメージが強いだろうが、2歳戦の成績をまとめると、
馬場 着度数 勝率 連対率 単回収率 複回収率
芝 141-121-104-489/855 16.5% 30.6% 89 86
ダート 21- 13- 19- 60/113 18.6% 30.1% 151 105
となっており、実はダートでは馬券上の魅力があることも分かる。ダートは中央重賞が無い(2歳限定の話なので)にも関わらず、1走あたり賞金は173万円。普通の一流種牡馬の芝1走あたり賞金くらいの水準にある。
ここまで説明しておいて数か月経ったら忘れていそうだが、来年のドラフトではアグネスタキオン最後の傑作を探してみたいものである。