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関東勢優勢にまった!(吉田竜作)

  • 2011年12月23日(金) 18時00分
 朝日杯FSは現地に参戦(もちろん仕事)したものの、お目当ての関西馬はトウケイヘイローの4着が最高。3頭出走した関東馬のワンツースリーという結果に。そのすべての手綱を取った落馬負傷で療養中の松岡も駆けつけていたが、もちろんその表情は笑顔。「来年が楽しみ」と期待を口にしていた。

 前日の阪神Cも関東馬のサンカルロがV。関東馬の攻勢が本格的なものになってきた? いやいや、それはまだ早い、というのが記者の考え。朝日杯FS当日の関西記者席でも「このメンバーが関西馬のトップクラスではないしね」という言葉が出ていたほどで、今や“西の大駒は1週遅れでやってくる”のが常識(?)になってきた。

 そう、今週末に行われるラジオNIKKEI杯2歳Sに出走する面々のことだ。その筆頭格に挙げられそうなのが京都2歳Sを勝ったトリップ。1週前の追い切りでは攻め駆けするレーヴディソールとほぼ互角の動きを披露。「攻め馬では1度も負けたことがない」と言っていた松田博調教師も、さすがにこの動きには目を丸くしていた。

 上がり運動を確認して「やはり動くな。これだけ動いた後だからその後の様子を心配していたが、これなら大丈夫」と状態面にも太鼓判。まだ体質の弱いところは残っているが、中間の調整を見る限り、それも1走ごとにしっかりしてきた感じ。牡馬クラシックは無冠の松田博厩舎だが、この馬が必ずやそのタイトルをもたらしてくれるはずだ。

 このトリップと双璧の存在と言えるのが札幌2歳S覇者グランデッツァ。札幌2歳Sで負かしたマイネルロブストが朝日杯で2着にきたことで、その実力の高さが更に裏付けられた。こちらも1週前追い切りの動きが絶品。不安があるとすれば、うちの難波田記者が「久々にGI馬らしい追い切りを見たわあ」と大騒ぎしていたことくらいか(笑)。松田博陣営も「あの馬は本物」とライバル視しており、この2強の激突こそがこの世代の“頂上決戦”となるかもしれない。

 ここに先週の新馬戦を勝ち上がったワールドエース、併せ馬でそのワールドに食らいついた良血馬トーセンホマレボシの池江寿厩舎2頭、東スポ杯2歳S覇者ディ−プブリランテを交えたあたりが、来春の牡馬クラシックの主役となるのではないか。

 牝馬はもう今さら言うまでもないだろう。もうジョワドヴィーヴルの独壇場と言っていい。阪神JFの後は「いい勝負もするし、勝てるという自信はあったが、あそこまで変わるとはわな。ハミ受けから何からあらゆる面で大きく成長してくれた。予想以上だよ」と松田博調教師も大絶賛。基本的に辛口な人が、ここまでほめることは本当に珍しい。

 レースの翌週は軽めの運動で体をほぐしたが、「元気が有り余ってるなあ」というくらい元気いっぱい。もう、今にも跳んで行きそうなくらいのはつらつさだ。線の細さは残るが、それも「これから大きくなるだろうし、420、30くらいにはなるだろう」とトレーナーも成長を確信している。来春の牝馬クラシック…というよりは、同厩のトリップあたりとぶつかることになったら…そちらの方が気になって仕方がない。

 いずれにせよ無事に競走生活を過ごし、日本の、いや世界の競馬ファンに「生きる喜び」を与えてほしいものだ。

▼筆者:吉田竜作
「日本一のPOG記者」との異名を持つ大阪スポーツ記者。

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