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若手調教師とPOG

  • 2012年02月24日(金) 18時00分
 そろそろ赤本の台割を考えなければならないタイミングに来ている。一見変わらない赤本だが、中身はもちろん毎年違うわけで、恒例となっている「若手調教師インタビュー」の人選なども楽しく、そして悩ましいところだ。インタビューした調教師がその後重賞(特にPOG期間内の重賞)を勝ったりすると、特に嬉しい。

 今年はまだ決めていないが、自分の予習をかねて、開業間もない厩舎の成績を振り返ってみようと思う。

 まず、現3歳世代が走っているのは、高野友和厩舎と清水久詞厩舎。高野厩舎は既にこの世代で9勝。社台ファームやノーザンファームの馬も入っている厩舎だが、一方で栄進やコスモといった、POGでの穴狙いに向くオーナーでも結果を出している。また、勝ち上がり馬の個人オーナーには「セレクトセールで社台グループの馬を買うこともある馬主」の名前もあり、ツボにはまると長打に繋がる予感がある。

 清水久詞厩舎は、現4歳世代のPOG期間も好調だった。4歳世代のPOG期間内勝利数は8勝で、当時開業3年目以内だった厩舎(POG期間内に4年目に突入した厩舎を除く)としては和田正一郎厩舎とならびタイ。当時の8勝に社台グループ生産馬はおらず、ダーレージャパン(日高町)での1勝を除くとすべて新冠以南産。赤本でいうと浅野さん好みの厩舎だ。

 関東の穴っぽいところでは新開厩舎にも注目しておきたい。新馬から管理した馬で大きな出世をしているケースはまだないが、転厩馬をシブく勝たせているシーンが目立つ。マスクトヒーロー(未出走抹消→道営→再転入緒戦で勝利)、ナイトフッド(角居厩舎からの転厩緒戦を勝利)、リープオブフェイス(池江寿厩舎から転厩後2勝)のような実績を地道に積んでいけば、そのうち新品の好素質馬が入ることもあるのではと思う。

 転厩馬で成功といえば、田中剛厩舎も転厩馬の成功が目立つ。フェデラリスト(松田国→船橋→兵庫→田中剛)はもちろんとして、障害だがマジェスティバイオも転厩馬だ。

 実は田中剛厩舎はここまで、なんと2、3歳戦は未勝利。2歳戦[0-2-1-36]、3歳戦[0-2-2-71]だ。そこだけ切り取るとPOGではとても手が出ないが、実は100戦以上して1番人気がゼロ。2番人気も1頭しかいない。与えられる素材次第ではまた流れが変わってくることもあるだろう。

 もちろん、ここで紹介した以外にも有望な若手調教師はたくさんいる。彼らのうち毎年東西ひとりずつしか選べないのは苦渋の選択になるが、制約はあっても若手調教師がなにを考え、なにを目指しているのかお伝えできればと思う。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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