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アネモネS

  • 2012年03月09日(金) 18時00分
 先週と同じく土曜の最初は渋り気味のコンディション必至。先週の中山の芝コースは明らかに「内枠」有利だった。先週ほどではない可能性もあるが、さすがに今週は一転して「外枠」有利になるほど急変するとは思えない。それでなくとも通常は外枠の馬がきびしい中山のマイル戦。波乱の主役は内の馬だろう。

 残念ながら内枠は引けなかったが、中心はエクセラントカーヴ(父ダイワメジャー)とした。中山1600mの新馬を楽々と上がり34秒6で抜け出したこの馬。スローで全体時計は平凡だったが、うまくいけばたちまちオープン馬を予感させる華があった。事実、2戦目にいきなりG3クイーンCに挑戦すると、インでもまれる形になりながら3着。日曜の報知杯FR(阪神)でかなり高い評価を受けると思われるイチオクノホシとは0秒2の差しかなかった。わずか2戦目、初の左回り…などを考慮すれば、上々の内容だろう。

 420kg前後の小さな馬体が心配だが、ダイワメジャー産駒ならいまのところ中山のマイル戦くらいが距離ベスト。桜花賞を目指すにさまざまなレース選択があったが、地元の中山なら馬体細化の心配はすくない。ファミリーは日本でここ10年ばかりのあいだに大きく枝を広げているアンティックヴァリューを牝祖とする一族。3代母オールドスタッフ(輸入馬。父アイリッシュリヴァー)は、1993年の桜花賞、オークスを制し、やがて日本ダービー馬アドマイヤベガを送ることになった名牝ベガの半姉になる。

 5歳上の4分の3同血の姉になるフローラルカーヴ(父アグネスタキオン)は、2007年のこのレースを2着して桜花賞に挑戦している。ダイワスカーレット=ウオッカの年だからどうしようもなかったが、やっぱり420kg台だった同馬、決して非力ではなかった。

 その年、公営所属馬としてこのアネモネSを勝って、フローラルカーヴと一緒に桜花賞に挑戦したのがエミーズスマイル(父アグネスタキオン)だった。その初仔が同じ公営所属馬として出走してきたエミーズパラダイス(父フサイチコンドル)である。

 エミーズパラダイスは、430kg台だった母よりひと回りも2が回りもしっかりした馬体を持ち、初芝、初の左回りだったクイーンCが前出エクセラントカーヴから0秒2差の5着。こちらも外枠はきびしいが、母よりスケールは一枚上と思える。今年はダイワスカーレット=ウオッカの年とは全体レベルが異なる。桜花賞に出走したい。

 内枠で怖いのは、タガノキャンドル(父アグネスタキオン)。前出のベガを育て上げたあたりから名トレーナーの評価を確かなものにした松田博資厩舎の所属馬。500kgを超す迫力の馬体を誇り、芝重の新馬で好走している。母ブゼンキャンドルは、松田博資調教師が手がけた1999年の秋華賞馬。12番人で激走している。

 この3頭の三つ巴馬券を中心に、差し一手でもパララサルー、デキのいいチェリーメドゥーサ、巻き返したいラフレーズカフェ、セコンドピアットも抑える。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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