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ファシグティプトン・フロリダセールの欠場率(須田鷹雄)

  • 2012年04月06日(金) 18時00分
 ドバイに行っている間に、ファシグティプトン・フロリダセールが終了した。日本人と見られる購買は4頭。その中のどれに特に注目するか……という話は赤本に書くとして、今回驚いたのが欠場馬の尋常でない多さだ。

 カタログには167番まで馬がいたはずなのだが、売却馬が60頭で主取馬が24頭。つまり、167頭中83頭はアウトしていたことになる。ほぼ半分だ。

 ちなみに昨年はカタログに238頭、売却が87頭で主取りが56頭。つまりアウトは95頭で全体の4割。これでもセリ本来の姿からするとだいぶおかしいのだが、さらに欠場率はアップしたことになる。

 ここで、会場がコールダー競馬場だった時代も含めて年度別の同セールの「欠場率」を整理してみよう。

年度-売却-主取-欠場-欠場率
2012年- 60- 24- 83-49.7%
2011年- 87- 56- 95-39.9%
2010年- 91- 54- 91-38.6%
2009年-111- 61-100-36.8%
2008年-102- 69- 99-36.7%
2007年-124- 85- 92-30.6%
2006年-154- 75- 79-25.6%
2005年-147-120- 88-24.8%
2004年-142- 81- 78-25.9%
2003年-139-107- 75-23.4%

 2006年→2007年→2008年と約5%ずつ上がり、そこから40%手前で推移。そして今年いきなり10%近くさらに跳ね上がっている。

 欠場率が上がった理由は2つある。2007年と2008年はプレビューとセリの間の日にちが開いていたので、その間に故障等が判明する馬も多かったと思われる。

 ただ、同様に間隔が開いていた2004年は欠場率が微増にとどまっているし、2009年からはプレビューとセリが中2〜3日なのでこれは決定的な要因にはならない。

 とすると、一番多い要因は「セリの前に話がまとまってOUTしている」ということになるだろう。そのような手法を使って購買するバイヤー(≒購買される馬)が一定数いるとすると、今年はカタログが薄くなったぶん欠場率が高くなったということで説明がつく。

 また、現地に居た方に伺うと、売る側の事情としてアウトしてしまうことも多いようだ。アメリカは景気が回復基調であり、ここで安く売らなくても後にもっと高く売るチャンスがあるという判断で引いてしまうわけである。特に、プレビューで時計が出なかった馬にそういう傾向があると聞く。

 いずれにしても、「競れない馬」がカタログの半分というのは異常な話だ。堂々と競って買っている日本人バイヤーにとっては迷惑な話でもある。

 この原稿は証拠があって書いているわけではないので現場の空気感などはさらに取材してみないと分からないが、いずれにしてもこのセリが曲がり角に来ていることは間違いない。かつては350頭ものカタログを誇り(そういえば昔は2日間開催だった)、日本にも数多くの優駿を送り込んできたセリだけに、このまま斜陽化していくとすると寂しい話である。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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