「千葉サラブレッドセールで今年の仕入れは終わった。クラシックを戦える陣容が整ったぞ」大久保洋調教師が満足そうな笑みを浮かべた。

　5月14日に行われた千葉サラブレッドセールで購入された千代田牧場生産の母Romantic Romanceの10(牡、父Unbridled's Song)、母ラブアンドピースの10(牡、父ジャングルポケット)が大久保洋厩舎に入厩することになった。

　母Romantic Romanceの10はセール4番目の2,835万円で落札された外国産馬。父Unbridled's Songはダート交流重賞7勝のラヴェリータ、2002年のNHKマイルC2着馬アグネスソニックなど、数多くの活躍馬を輩出。JRA出走馬44頭中20頭(勝馬率45.5％)が勝ち上がり、芝、ダート兼用に走る優良種牡馬だ。外国産馬らしく、胸前の筋肉が盛り上がり、馬っぷりの良さが一際目立っていた。「垢抜けた馬体の持ち主で、調教の動きも凄く良かった。セール前から注目していただけに、手がけることになって本当に嬉しい。やりがいがあるな」。

　母ラブアンドピースの10は千代田牧場きっての良血馬。母は阪神ジュベナイルF覇者ピースオブワールドの初仔。わずか1戦で繁殖入り後、ジャングルポケットとの間に生まれた長男がセールに登場した。「馬体重は460キロ台だが、バランスが良く、ちょうどいい体付きだな。同じジャングルポケット産駒のトーセンジョーダン、ジャガーメイルも470キロ台で走っている。胴長でスラッとした体型からも長い距離が向いていそうだし、日本ダービーが目標になるな」。

　美浦トレセンにはサンカルロの半弟ヘルデンテノール(牡、父ディープインパクト、母ディーバ)、母が2000年のチューリップ賞を制している母ジョーディシラオキの10(牡、父アドマイヤムーン)が5月17日に入厩。5月24日にはトウショウシロッコ、トウショウウェイヴの半弟になる母スパークトウショウ(牡、父アグネスタキオン)の10、5月25日には短距離重賞で活躍したジェイケイセラヴィの全妹・母ジェイケイコマンダの10(牝、父スクワートルスクワート)が入厩した。

　5月28日の時点でトーセンジュピター(牝、父ネオユニヴァース、母ポーリッシュピンク)、母インカルネ(牡、父アルカセット)の10を含めて6頭の2歳馬が入厩している。

「今年の皐月賞を勝ったゴールドシップは7月デビューだったが、ダービーを狙うなら2歳戦の内に賞金を加算した方が有利になる。千葉サラブレッドセールで購入した2頭も含めて、今年の2歳は楽しみな馬が多い。早めの始動は来年のダービーに向けての第一歩だ」と意気込んでいる。充実のラインアップが揃った大久保洋厩舎から目が離せない。

▼筆者：辻三蔵
　レーシングライター。元「ホースニュース馬」美浦所属トラックマン。

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