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日本ダービーのハナ差決着とその後

  • 2012年06月02日(土) 12時00分
 今年の日本ダービー、いいレースでしたね。ワールドエースとゴールドシップはなんであんなに後ろから行っちゃったのか、とか、1枠の2頭はどうしちゃったの、とか、ご不満をお持ちの方もいらっしゃるでしょうが、あのゴール前の激闘は見応えがありました。歴史に残る名勝負だったと思います。

 勝ったディープブリランテと2着フェノーメノの着差はハナ。日本ダービー史上、1、2着がハナ差で決着したのは8回目のことでした。そこで今回は、“ハナ差のダービー”をテーマにします。ではまず、その一覧から。

年-回-1着馬-2着馬
1940年 第09回 イエリユウ-ミナミ
1958年 第25回 ダイゴホマレ-カツラシユウホウ
1961年 第28回 ハクシヨウ-メジロオー
1974年 第41回 コーネルランサー-インターグッド
1979年 第46回 カツラノハイセイコ-リンドプルバン
1981年 第48回 カツトップエース-サンエイソロン
2000年 第67回 アグネスフライト-エアシャカール
2012年 第79回 ディープブリランテ-フェノーメノ

00年の2着馬エアシャカールは、皐月賞と菊花賞を勝っていますから、限りなく3冠馬に近い2冠馬ということになりますね。

 それよりもドラマチックなのが58年の2着馬カツラシユウホウ。この馬は、皐月賞も菊花賞も、おまけに翌年春の天皇賞も2着でした。皐月賞は8番人気で勝ったタイセイホープのクビ差、菊花賞は4番人気で勝ったコマヒカリの半馬身差、天皇賞・春は3番人気で勝ったトサオーのクビ差。惜しい、なんていうもんじゃないですよ。ダービーを含めた4戦のうち、どれか1つでも何とかならなかたんでしょうか。ちなみに同馬の戦績は25戦13勝2着11回。つまり、いわゆる連対を外したのは1回だけ(5着)っていうんですから、頭が下がります。あらためてこの馬を表彰してもいいくらいです。

 今回の優勝馬ディープブリランテにとっては縁起のよくないデータですが、過去にハナ差でダービーを制した7頭のうち、ダービーの後に重賞を勝ったのはカツラノハイセイコ(天皇賞・春ほか)だけ。ハクシヨウ、コーネルランサー、カツトップエースはダービーが最後のレースになってしまいました。ディープブリランテがダービーで勝ち運を使い果たした、ということになりませんように。
 
 一方、ハナ差で2着に負けた馬のうち、菊花賞に出てきた馬は5頭。カツラシユウホウ、メジロオー、サンエイソロンが2着、エアシャカールが優勝、リンドプルバンが4着でした。連対率8割。フェノーメノが菊花賞に出てきたら馬連の軸に狙ってみますか。

 次に“ハナ差のダービー”を見られるのは、日本で金環日食が見られる2030年より前か後か、どっちだと思いますか?

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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