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真のアスリートを感じた1戦

  • 2012年06月29日(金) 12時00分
 オルフェーヴル、凄かったですね。

 彼の闘志は、燃え尽きてはいなかった。

 陣営は7分のデキといっていましたが、きっと池江師は肉体的な面以上に、闘志が失われていないかどうか?メンタル的な面を気にかけていたように感じます。

 それだけに、この走りそしてこの勝利というのは、今後のオルフェーヴルにとって、また陣営にとっても大きな自信となったことでしょう。

 さて今回の宝塚記念で、私が最も驚いたことの一つが、ゲート裏で見せたオルフェの行動でした。

 なんと彼はメンコをとった瞬間、かなり大きな音でハミを噛んだのです。まるで、「ヨシ!やるぞ!」と、気持ちのスイッチがONになったかのように。

 私はこれまで、あれほどの音量で馬がハミを噛む音を聞いたことがなかったので、その時は「え?!」っと、思ったのですが、今にして思えば、オルフェ自身が自分に気合いをいれたのかも…。耳の奥底まで響き渡り、決して忘れてはいけないと感じるあの音。

 オルフェーヴルという馬は、真のアスリートなのかもしれない、今そう感じています。

 そしてコンビを組む池添騎手の心情というのも、相当キツイものがあったことでしょう。

 レース後に行われたレース回顧のイベントで見せた表情が、ここ最近見せていた彼の顔つきとは全く違い、優しい表情に変化していました。これは私だけでなく、その場にいた皆が口にし、特に週中のトレセンで池添騎手のインタビューをしたディレクターは、全く別人のようだとも…。

 勝てば称賛を浴びる職業であると同時に、負ければ地獄のような苦しみも味わう仕事。

 騎手に限らず、勝負の世界で生きる人々の孤独を感じるものでした。

 さぁこの走りにより、さらに明確となったと感じる凱旋門賞ですが、池江師にお話を伺うと、「秋以降は、海外か国内かは未定」と、これまでとは違うコメント。考えてみれば阪神大賞典以降、いろいろなこともありましたので、舞台裏ではベストな結果を目指し、いろいろな論議がなされ慎重になっているのかもしれませんね…。

 しかしながら、この馬ならば世界の歴史に名を刻むことも十分考えられる、今回見せた彼の気持ちの強さと、上手になっていたレース振り、そしてポテンシャルの高さにそう感じずにはいられませんでした。

 とにかく今は英気を養い、秋、無事にトレセンに帰厩をしてほしい、そう願うばかりです。

 さて今週中、福永騎手はアメリカへ。

 そしてこの夏、川田騎手はフランスへ。

 今の自分から、もう一つ大きくなる為に、そして将来の自分を想像し、動きだしているのでしょう。凄いなぁ〜って思います。

 二人の姿に、私も今年の夏は与えられた時間を将来のために費やそうと考えています。(不安も多いですが、ちょっぴり気張ろうと思っています)

 皆さんは、どんな夏を過ごそうと考えられていますか?

 それではまた来週、お逢いしましょう。

 ホソジュンでしたぁ。

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愛知県蒲郡市出身。JRA初の女性騎手として96年にデビュー。2000年には日本人女性騎手初の海外勝利を挙げ、01年6月に引退。 現在はホース・コラボレーターとして、フジテレビ系『みんなのKEIBA』などに出演。

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