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温かい拍手に包まれた凱旋門賞

  • 2012年10月12日(金) 12時00分
「何て言っていいのかわからない…」

 凱旋門賞直後、正直その言葉しか見つかりませんでした。完全に勝利を確信したと思ったその瞬間、まさかゴール直前で差しかえされるとは…。しかも直線、オルフェーヴルよりも前にいた馬に…。

 しかし冷静になってレースを振り返ると、勝ったソレミアのペリエ騎手は、オルフェーヴルのずば抜けた高い能力とともに、オルフェーヴルの癖も十分に把握していた様子。だからこそ先行しながら最後の直線、自らが先に動かずして抜け出したオルフェーヴルが内にささる癖を待っていたかのような追い出し。

 正直、先行馬が先に動かずとも、持久力勝負に持ち込めることがあるのだなぁ〜と、常識を覆された騎乗振りでした。しかしながら、オルフェーヴルも2着に敗れたとは言え、いろんな意味で本当に素晴しかったぁ。

 海外遠征において状態の良さがうかがえた、光り輝く馬体、我慢ができていた精神面、そして世界の大舞台において力を見せ付けた走り。

 これまでの凱旋門賞の歴史の中で、また一歩凱旋門賞に近づけた走りだったように感じますし、私も含め日本の多くの方の心を、凱旋門賞に連れて行ってくれたオルフェーヴル、そして関係者の皆さんに、感謝の思いでいっぱい。とにかくまずは、人馬共に無事の帰国を願うばかりです。

 さてもうひとつ、国内でも興奮のレースが行われましたね。毎日王冠でのカレンブラックヒルが、初の距離&初の一戦級の古馬相手に完勝。正直、こんなに強いとは! 驚きでした。

 また初となる休み明けでの1戦でしたが、ユトリを感じさせた精神面と、弱冠余裕残しを感じさせる馬体に、本番を逆算しての理想的な仕上がりを感じ、素晴しいデキを感じるものでした。

 本番には同じく3歳馬のフェノーメノもいるわけですし、ここにきて一気に天皇賞の一戦が楽しみとなってきました。

 さて今週は史上4頭目の牝馬3冠を目指しての戦い秋華賞最終追い切りに騎乗した岩田騎手は、愛馬の落ち着きと躍動感に、よりいっそう気を引き締めている様子でした。

 三冠制覇、私も期待します。

 それでは皆さん、ステキな週末をお過ごし下さい。ホソジュンでしたぁ。

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愛知県蒲郡市出身。JRA初の女性騎手として96年にデビュー。2000年には日本人女性騎手初の海外勝利を挙げ、01年6月に引退。 現在はホース・コラボレーターとして、フジテレビ系『みんなのKEIBA』などに出演。

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