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“無駄遣い”と指摘された送迎タクシー代、小牧騎手の本音は?

  • 2012年11月13日(火) 18時00分
11月4日の落馬により、休養中の小牧騎手ですが、現在は阪神開催前半での復帰を目指し、リハビリに励む毎日だそうです(休養中の心境などは、再来週にはお届けできる予定です!)。さて今回は、JRAジョッキーの送迎タクシー代について、会計検査院に“無駄遣い”を指摘された…という報道についてのお話。いったいどういう決まりがあって、なにが無駄遣いなのか!? 小牧騎手にたっぷりとお聞きしました。

■電車のなかでは指を差されたり、話しかけられたり…
──10月15日に、JRAジョッキーの送迎タクシー代の無駄遣いについて、会計検査院に指摘されたというニュースがありましたね。

小牧 ああ、タクシーを使って競馬場から帰るのが、どうのこうのっていう話やね。

──ファンからすると、ジョッキーの移動って謎の部分が多いようで、今回のニュースについても、具体的にどういうことなんですか? というような質問がけっこうありまして。

小牧 要するに、開催日の土日の朝も、ここ(栗東トレセン)で調教しているジョッキーがいるんですわ。厩舎に所属している若い子なんかはとくに、開催日でも競馬場からいったん栗東の調整ルームに帰ってきて、翌朝調教してから、また競馬場に行くんでね。調整ルームって、競馬場にだけあるわけじゃないんです。だから、関西圏の競馬場だったら、外部との接触を避けるために、JRAが契約をしているタクシー会社のタクシーで移動します。

──あくまで開催当日限定で、栗東の調整ルームから、競馬場の区間のみ?

小牧 そうそう、その区間のみ。僕は金曜日から競馬場の調整ルームに入ることが多いから、ほとんど使ったことはないけど。

──たしか今回の指摘は、日曜日の競馬終わりにタクシーを使って帰るのはどうか、いうことでしたよね。

小牧 ということは、調整ルームから競馬場に来るときは、公正競馬のもとにタクシーを使って、帰りは電車を使うか、誰かの車に乗せてもらうか、自分でタクシーを使って帰りなさいっていうことやね。電車は開催日ともなれば競馬ファンばっかりで、声をかけられたり、なかには馬券で負けたファンに怒られたなんていう話もあるから、実際、電車で帰る騎手はあまりいないですわ。僕はあまり気にしないほうやし、渋滞に巻き込まれたりするのが嫌やから、電車も使いますけどね。

──たしかに小牧さんは珍しいタイプですよね。およそ、自分の車か、誰かの車に便乗して帰ってくるパターンが多い。

小牧 そうやね。でもさすがに最近、(仁川から)阪急はよう乗らんわ。やっぱり指を差されたり、話しかけられたりするし、そこまでいかなくても、僕に気づいてコソコソ話してるのがわかるし…。やっぱり居心地が悪いですやん。だから、そういうときは、自分でタクシーを呼んでね。それは当然、自腹やで。

公正競馬確保のため必要な出費も…

公正競馬確保のため必要な出費も…

──ギャンブルですから、身の危険がないとも言い切れませんし。実際にJRAも「騎手のタクシー利用は公正な競馬の施行と騎手の安全のために必要」というコメントを出していますね。

小牧 そうやね。危険がないとも言い切れない。僕はそういう目に遭ったことはないけどね。

──ほかに交通手段を用意してくれればいいですけどね。たとえば、トレセンに直接帰るジョッキー用に、みんなで乗れるバスを手配するとか。

小牧 うん、それもひとつの方法やね。売り上げも年々下がってるわけやから、もちろん無駄なものは省いていかなければいけないと思うよ。ただ、宿舎の駐車場代の件といい、直接馬に携わっている人間ばかりが、経費削減の対象になっているような気がする。もっとほかにも削減できるところがあるんちゃうかなぁと思うけどね。もちろん、JRAもいろいろ経費を抑える努力をしてるやろうし、今回の件も含め、中央競馬に携わるみんなで考えていかなければいけない問題だと思ってます。

──海外では、ジョッキーの移動費は、基本的に自己負担と聞きます。

小牧 そうですね。そもそも海外には調整ルームがないから。

──そうそう、今回のニュースに関連してか、調整ルームのルールについても質問がきています。

小牧 まず、金曜日の夜9時までに入るのが決まりです。前は6時だったんやけど、9時になったんですよね。早く入るぶんには問題ないんやけど、まぁそれも経費削減の一環なんでしょう。あとは、ファンの人も知ってると思うけど、携帯やパソコンで外部と連絡を取ってはいけないっていうことやね。

──そのほか、なにか特別なルールってあるんですか?

小牧 いや、それ以外はとくにないよ。とにかく外出禁止、外部との接触禁止っていうことやね。いったん調整ルームに入ったら、一切外には出れんから。でも、調整ルームの制度は、ゆくゆくはなくなるんじゃないかなぁと思う。実際、海外にはない制度やからね。

──逆に、外国人ジョッキーは、日本の調整ルーム制度に好感を持っている人が多いみたいですね。

小牧 僕も個人的にはあったほうがいいと思う。僕は調整ルーム、好きですよ。ゆっくりできるし、明日は競馬や! って、気分的にも切り替えができるからね。

【次回の太論は!?】
「悪天候などの影響で、競馬が翌日に代替になった場合、その日1日ジョッキーたちはどう過ごしているの?」「時計の速い馬場についてどう思う?」などなど、ユーザーからの質問に小牧騎手が答えます!
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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