スマートフォン版へ

在京民間放送・競馬中継事始め

  • 2013年02月16日(土) 12時00分
 今回のテーマは「在京民間放送・競馬中継事始め」です。

 今月6日、都内の某ホテルで行われた民放競馬記者クラブ設立50周年記念パーティに出席しました。同クラブにはテレビ東京、フジテレビ、ラジオNIKKEIなど、在京の民放各社が加盟しています。その際、せっかくの機会なので、各社がいつ頃から競馬中継を始めたかを調べてみようと思い立ったんです。参考にしたのは新聞のラジオ、テレビ番組欄。近所の図書館に通って、朝日、毎日、日経の縮刷版を片っ端からめくっていきました。では、調査結果の一部をご紹介します。

 民放が始めて競馬を中継したのは、1953年(昭和28年)11月15日。同年8月に開局したばかりの日本テレビが午後1時50分から東京競馬を実況中継しました。当日のメインは「第28回天皇賞」。日経の番組欄には「佐土アナ」という表記があります。これは、日テレの看板番組だったプロレス中継を長年にわたって担当された佐土一正アナウンサーのことと思われます(私は存じ上げていませんが)。おそらくこの方がわれわれのルーツ、“元祖民放競馬実況アナ”なんでしょうね。

 日本テレビはそれから10日あまり後、11月27日に船橋競馬も中継しています。その時代にNHKが地方競馬を放送したという話は聞いたことがありませんから、これは史上初の“快挙”。この日は「金の鞍」という、当時の船橋の看板レースが行われた日です。そして担当は、またもや「佐土アナ」でした。

 翌54年(昭和29年)5月23日には日本文化放送(現・文化放送)が「第21回日本ダービー」を実況中継しました。たぶんこれが、民放ラジオによる競馬中継の第1号でしょう。午後3時45分から4時20分まで、東京六大学野球中継を中断しての放送。ダービーの発走時刻は今より遅かったようです。文化放送が在京ラジオ局の先陣を切って競馬を放送したというのは、同局出身の私、恥ずかしながら初めて知りました。ちょっとビックリです。

 その後、1956年(昭和31年)にラジオ東京テレビ(=KRテレビ。現・TBSテレビ)が年8回の中央競馬中継を実施。レギュラー番組としての競馬中継の先駆けとなります。

 さらにこの年、同テレビでは2月から6月まで大井競馬を4回にわたって放送しています。「大井競馬のあゆみ」という本によると、同競馬の放送は、1960年(昭和35年)11月15日のNETテレビ(現・テレビ朝日)による中継がその始まり、とされていますが、それより前にTBSが実施していたわけです。ひょっとするとこれは、埋もれていた“新事実の発見”と言えるかもしれません。

 オッと、もう字数が一杯になっちゃいました。まだまだ今回のテーマで書き残しておきたいことがたくさんあります。そうだ、3カ月に一度書かせてもらっている某競馬週刊誌のコラムにこの続きを譲るとしましょうか。ひとまず、今回はここまでにしておきます。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング