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ドバイワールドCナイトに出走の日本馬の見どころ

  • 2013年03月27日(水) 12時00分
 ドバイワールドCナイトの開催が今週土曜日(30日)に迫っている。今回のこのコラムは、日本馬が出走する3競走の見どころを御紹介したい。

 まずは、G2兵庫ジュニアグランプリ(d1400m)の勝ち馬ケイアイレオーネ(牡3)が出走するG2UAEダービー(AW1900m)から。例年、素質馬をここへ向けて仕上げて来る地元ゴドルフィン勢と、生まれが半年早い南半球産の精鋭を擁するM・ドゥコック勢の争いとなるこのレース。実際に過去13回のこのレースを振り返ると、ゴドルフィンが7勝、ドゥコック厩舎が5勝と、ほぼこの2陣営で優勝を分け合う形となっている。ところが今年は、ドゥコック厩舎に南半球産の大物がおらず、そうなると優勝争いは、今年も5頭立てで臨むゴドルフィン勢が中心となりそうだ。

 中でも、レイティング的に1頭抜けた存在となっているのが、牝馬のシュルク(牝3)である。昨年10月、デビュー2戦目のケンプトンのメイドン(AW7F)で初勝利を挙げた同馬。オールウェザーでのレース振りが良かったことから、メイダンのドバイカーニヴァルに参戦することになり、1月17日のUAE1000ギニートライアル(AW1400m)が2着、2月7日のLRUAE1000ギニー(AW1600m)も2着となった後、2月28日に行われたG3UAEオークス(AW1900m)を4馬身で快勝。血統とは裏腹に、距離が伸びてパフォーマンスが大きく向上したことから、この距離なら牡馬相手でも戦えると見ての参戦となった。2年前の11年に牝馬のハウラーが優勝しており、傑出した力があれば牝馬でも勝てるのがこの一戦だ。

 ゴドルフィンの2番手は、スーパーサタデー(3月9日)に行われた前哨戦のLRアルバスタキヤ(AW1900m)を制したシークレットナンバー(牡3)である。昨年10月、ケンプトンのメイドン(AW8F)でデビュー勝ちした同馬。シュルク同様、オールウェザーでのパフォーマンスがよかったことから、メイダンのカーニヴァルに参戦することになり、今季初戦となったのが前走であった。すなわち、4か月半の休み明けで準重賞を制し、通算成績を2戦2勝としたのがシークレットナンバーで、相当の能力の持ち主と見てよさそうである。逆に言えば、キャリアの浅さがいくらか気になるところで、勝てばあっさりがある一方で、馬群に揉まれたりすると意外な大敗もある馬かもしれない。

 ゴドルフィン勢にひと泡吹かせるとしたら、北米から参戦するダイスフレイヴァー(牡3)ではなかろうか。昨年5月のバレッツメイセールにて、10万ドルで購買された同馬。購買者は日本人馬主の尾田信夫氏で、北米でも現役馬を所有している尾田氏の西海岸における主戦厩舎P・ギャラガー厩舎からデビュー。昨年12月にデビュー3戦目のハリウッドパークのメイドン(芝8.5F)で初勝利を挙げると、続くサンタアニタの条件戦(芝8F)が3着。その後、2月16日にゴールデンゲートで行われたG3エルカミノリアルダービー(AW9F)に駒を進めたところ、鮮やかな末脚を発揮して3.1/4馬身差で勝利を収め、重賞初挑戦初制覇を果したのだ。初めて走ったオールウェザートラックでデビュー以来最高のパフォーマンスを見せたことから、UAEダービー参戦が決まったこの馬にも、日本から大きな声援を送りたいものである。ケイアイレオーネは、兵庫ジュニアの時のパフォーマンスを再現し、メイダンの人工馬場(タペタ)への適性が高ければ、上位争いに加わってもおかしくはないはずだ。

 続いて展望するのは、G1JBCスプリント(d1400m)勝ち馬タイセイレジェンド(牡6)が参戦するG1ゴールデンシャヒーン(AW1200m)だ。中心は、ゴドルフィンのメンタル(セン4)だろう。昨年まで、シェイク・モハメドの所有馬として豪州で競馬をしていた同馬。昨年のグローバルチャレンジ第9戦G1パティナックファームクラシック(芝1200m)を制している他、G1マニカトS(芝1200m)2着の実績もあるこの馬は、豪州が短距離路線の水準が高いことで知られている地域であることを鑑みると、相当な実力の持ち主と見て良さそうである。ゴドルフィン移籍後初戦となったのが、2月14日にメイダンで行われたG3アルシンダガスプリント(AW1200m)で、初体験だったオールウェザートラックを全く問題にすることなく快勝。実力馬に馬場適性もあることが実証された以上、中心の座は動かし難いと言えそうだ。

 2番手以下は大混戦模様だが、対抗候補の筆頭に挙げたいのが、M・ドゥコック厩舎のカヴァナー(セン5)である。南アフリカで1400m以下の重賞に3勝している他、G1プレミアズチャンピオンS(G1、芝1500m)2着、G1ハウテンギニーズ(芝1600m)2着、G1ケイプギニーズ(芝1600m)3着などの実績を残している同馬。ドバイ3戦目となったG3アルシンタダガスプリントでメンタルの1馬身2着に好走。前走3月2日にメイダンで行われた条件戦(芝1200m)で今季初勝利と、ドバイの環境にもすっかり慣れて本来の力を発揮しはじめており、場合によっては単の狙い目も立つ2番手候補と見る。

 これに続くのが、昨年に続くこのレース連覇を狙うクリプトンファクター(騸8)と、スーパーサタデーに行われた前哨戦のG3マハブアルシマール(AW1200m)でそのクリプトンファクターに4馬身という決定的な差をつけて重賞初制覇を果したレイノルズザウィザード(騸7)の2頭だろう。

 北米から参戦する、昨年のG1BCスプリント(d6F)勝ち馬トリニバーグ(牡4)は、オールウェザートラックの経験が全く無いだけに、タペタをこなせるかどうかが懸念材料だ。

 タイセイレジェントについても、UAEダービーのケイアイレオーネと全く同じことが言えそうだ。すなわち、G1JBCスプリントのパフォーマンスを再現し、タペタへの適性が高ければ、上位争いに加わってもおかしくないと見る。

 最後に展望をお届けするのは、昨年のJRA賞年度代表馬ジェンティルドンナ(牝4)と、トレイルブレイザー(牡6)が参戦する、G1シーマクラシック(芝2410m)だ。

 海外での出走はこれが初めてだが、既にして世界的に認知されているスターホースがジェンティルドンナである。あのオルフェーヴルに真っ向勝負を挑み、年齢の壁も性別の壁も乗り越えて勝利を手にしたG1ジャパンC(芝2400m)のレース振りには、世界中の関係者やファンが度肝を抜かれており、途轍もない大物との評価が下されている。そのオルフェーヴルが日本に留まり、昨年のこのレースの勝ち馬シリュスデゼーグルを故障で欠くこの顔触れなら、最有力馬としての出走となるのも当然なのだ。関門と言われた輸送も無事終えたようで、益々優勝に近づきつつあると言えよう。

 芝2410mという競走条件だけに、警戒が必要なのは欧州勢で、中でも、一昨年のG1BCターフ(芝12F)、一昨年と昨年のG1コロネーションC(芝12F10y)と、この路線のG1・3勝の実績を誇るセントニコラスアビー(牡6)は、昨年のこのレースで2着に入ってコース適性の高さも実証済みだけに、最大の敵となりそうだ。

 一昨年のG1メルボルンC(芝3200m)と香港ヴァーズ(芝2400m)、昨年のG1コーフィールドC(芝2400m)と、欧州以外で3つのG1を制しているデュナデン(牡6)も、アウェイでの戦い方を知りつくしている上に、自分の競馬が出来た時に発揮する末脚には抜群の威力があるだけに、警戒が必要な1頭である。

 ドバイ初戦となったG1G1アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド3(AW2000m)は馬場が合わずに大敗したが、主戦場の芝に戻ったここなら改めて見直したいのが、トレイルブレイザーである。昨秋の北米遠征では、G2アロヨセコマイル(芝8F)2着、G1BCターフ(芝12F)4着と、しっかり結果を出した同馬。本来はアウェイの戦いに強い馬だけに、この馬が自身のベストパフォーマンスをすれば、日本馬同士の1・2フィニッシュも、夢ではないはずだ。

 仏国から参戦するシャレータ(牝5)、愛国から参戦するロイヤルダイヤモンドなど、前目で競馬をする馬はいるものの、強力な逃げ馬は不在のメンバー構成だ。日本馬2頭が、早めに自力勝負に出る場面もありそうである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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