クイーンCでは、阪神ジュベナイルF1番人気・コレクターアイテムが9着惨敗。チューリップ賞では、1番人気レッドオーヴァルが7着、2歳女王ローブティサージュが9着――混沌たる牝馬クラシック戦線において、唯一、ファンの期待に応える走りを見せたのが、チューリップ賞優勝のクロフネサプライズだ。桜花賞5勝の武豊を背に挑む大一番。指揮官・田所秀孝が、高鳴る胸の内を語った。(取材・文:不破由妃子)
GI制覇へ懸ける田所秀孝調教師
昨年暮れの阪神ジュベナイルFでは、道中2番手から驚異の粘り腰を発揮し、15番人気という低評価に猛反発。3着レッドセシリア(10番人気)とともに、3連単で300万を超える“サプライズ”馬券を演出した。
「阪神ジュベナイルFは、いい競馬をしてくれるだろうっていう期待はあったんですよ。それが、あとで15番人気と知って。思いのほか軽視されていたんだなと」
そう語るのは、同馬を管理する田所秀孝。95年にジョッキーから転身し、今年で開業18年目を迎えた。その間、函館記念を3連覇したエリモハリアーを筆頭に、6頭の重賞馬を送り出してきたが、GIの頂はまだ見ぬ景色。田所にとってGIタイトルは、ジョッキー時代から持ち越された悲願でもある。
2013年、そんな田所とクロフネサプライズの戦いは、チューリップ賞からスタート。人気は3番手に甘んじたが、レースは鞍上・武豊の絶妙な逃げで、3馬身半差の圧勝を飾った。
トライアル・チューリップ賞を快勝
「ユタカには一応、『いいスタートを切ると思うけど、ハナには行かないでくれ』と言ってあったんです。彼もスタートして1ハロンくらいは様子をうかがってましたけど、結局どの馬も行かなかったので、そのまま内に入れて。でも、内から行く馬がいればということで、少し内を開けて走っていましたね。結果的に、テンに様子をうかがったぶん、緩やかなペースになって。本番では当然、ペースも相手も変わってきますから、あの着差についてはなんともいえませんが、去年の最優秀2歳牝馬を負かしたっていう事実は、厩舎にとってはもちろん、彼女自身にとっても、自信になったんじゃないかと思います」
今年初戦について「当初は紅梅Sあたりを使いたかったんだけど