日本ダービーで悔しいハナ差の2着、天皇賞・秋では半馬身差の2着と、昨年は残念ながらGI勝利に手が届かなかったフェノーメノ。しかし、明け4歳初戦となった日経賞では、2500mの距離で折り合いもしっかりとつき、直線では力強いフットワークで差し切り勝ちを収め、安定した力を見せつけた。その勢いのまま、天皇賞・春でGI奪取に燃える戸田博文厩舎の佐々木勝利調教助手に、フェノーメノの強さや素顔、そして春天への意気込みを語ってもらった。(取材・文:佐々木祥恵)
フェノーメノ、佐々木勝利助手
2歳の夏。フェノーメノは、追分ファームから直接、札幌競馬場に入厩してきた。調教助手の佐々木勝利は、その時からフェノーメノの調教パートナーとなった。
「結構気の強い仔で、物見も激しく、最初は少し手を焼きました。入りも出も躊躇(ちゅうちょ)する面が少しあって、ゲート試験も2回落ちていますしね。子供っぽい馬という印象でした」
堅実に走る優等生というイメージのフェノーメノにも、ヤンチャな若駒時代があった。
札幌競馬場でゲート試験に合格後は、美浦トレーニングセンターに移動する。
「入厩当初から真っ黒で雰囲気のある馬でしたが、乗り味に関しては普通でした。相変わらず集中しなくて物見もしていましたしね。それが調教が進むにつれて、“おおっ”と思うくらいに良くなってきました」
10月30日、東京競馬場の芝2000mがデビュー戦の舞台となった。岩田康誠騎手を背に2番手を進んだフェノーメノは、直線で内からあっさり抜け出してくると、2着のシャドウパーティー以下を退けた